Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

2014年・最初のバリツアーの記録記事

蓮の花が咲く時期となっているわけだが。今度の日曜は、七夕であり、そしてライブでもある。

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ライブの詳細は、以下ブログより!

http://dragontone.hatenablog.com/entry/2019/07/01/191522

 

今回のライブを行うきっかけとなったのは、バリツアーを企画してくれている、バリ在住のちえこさんが、一時帰国するということだった。

そんなことで、初めてのバリツアーの記事を、今はネットの世界には存在しない、昔のDragontoneのブログ記事から紹介してみようかと思う。

 

ーーーこれより2014年7月の投稿ーーー

 

バリツアーに出発かぁ!!!と思ったら、もう日本に帰って来てしまった。

事の始まりは、俺のライブを都内で企画してくれた、じゅんこさんが、バリに仕事に行った時に、バリ在住のちえこさんにその動画を見せた事が、今回のツアーのきっかけだった。

それから、半年、様々な困難を乗り越え、バリツアーが実現の運びとなったのだ。お二人には、心から感謝であります。

精霊の住む島バリ島。その中でも今回は、コーディネートをしてくれた、ちえこさんが、アグン山の奉納から始めるという行程を決めてくれた。

それほど名前が知れているわけではないが、日本から神楽太鼓の演奏家が来るという話は、それなりに伝わっていたらしく、露出度の高いイベントなどへの勧誘もあったというが、ありがたい事に、ちえこさんは、アグン山の奉納から始める事にこだわってくれたのだ!

6月が、もの凄く多忙だったので、気がついたら、バリに居た!

という具合で、当初心配されていた太鼓にクレームをつけられるかも?という大きなドラムのハードケースを持ってのインドネシア入国も、なんの不信感も持たれずに、スーっと通過する事ができて、幸先の良いスタートとなった。

デンパサールの空港に着いて、そこからアグン山方面へと約2時間ほどの移動。

 

都市部から田舎の風景へと変わっていく。到着時は暗かったので、よく分からなかったが、宿泊した場所は、緑に囲まれた素晴らしい場所だった。

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翌朝起きると、朝陽に照らされる緑の植物たちは、キラキラと輝いている。これは、最初の挨拶をしなくては!と、すぐ前あった唐辛子畑にソルフェジオガンクを持ち込んで音を出してみる。音の伸びもなかなかで、気持ちよい音をしばし満喫する。

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そんな感じに、バリ島での初めての朝は、唐辛子畑から始まったのだった。

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バリ島においては、アグン山が聖なる場所とされ、それぞれの地域において、アグン山の方向に向かって祈りを捧げるほどなのだという話。

簡単に言うと、バリ島最強の神様に挨拶をしに行く!という事なんだと理解していた次第。

最初に、ブサキ寺院に拝礼に行き、挨拶を済ませ、その後、夕方にアグン山のさらに上へと向かい、雲の中に居るかの様な寺院にて、神楽太鼓、ソルフェジオガンク、ベル類に魂を入れる儀式を行ってもらい、それから奉納演奏をしたのだったが。。。

アグン山へと向かう道中は、雨が落ちてきていて、なんとも微妙な雰囲気。しかし、遠くに太陽の光が照らす場所が見える。

どうやら、そこが目的地だったようで、良い兆しである。

劇的というのは、こういう事か!という位、ジャストなタイミングで、現地に着いたら雨は上がっている。

当初の予定では、入り口辺りでの奉納演奏というはずが、再深部の実際に僧侶の方達が祈りを捧げる場所で奉納演奏をさせていただける事になった。

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非常に良い流れが始まっている事を、その場の全員が分かるくらい、劇的な展開である。

バリの僧侶は日本で言うところの鐘を使う。柄が付いているベルである。チベタンベルの音の密度を極度に上げて、とてもクリアーな音を出す感じである。鐘の重量も実際とても重い。

その分、遠鳴りする感じと、輪郭がしっかりした音がでるのだと思う。非常に興味深い音を響かせていた。そして、その鐘で、ななんとなんと、リズムを取りつつ、祈りのマントラの様なものを唱えるのである。

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なんでも当てはまるかと思うが、第一印象で決まる事が多い!この僧侶さんの鐘の第一音に、「ガツン!」とやられ、続けざまにそのリズムにやられ、やられっぱなしの、魂入れの儀式となった。

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その鐘のリズムと響きは、持続的に螺旋を描きつつ倍音をコントロールして、会場を満たしていく。そんな感じに、神楽太鼓やソルフェジオガンク、ベル類に、バリの神々を勧請し、魂入れの儀式が粛々と行われていいく。

ヤバすぎるほどに神聖な空気が漂い、湿度の高い会場は、精霊がそこかしこに居る雰囲気である。

バリでは、お清めの聖水を何にでもかけるらしく。神楽太鼓も例外なく、容赦なく聖水がかけられていく。

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内心、「今日は太鼓は鳴らないな・・・・。」と、音の響きは難しいかな?と思ってしまったのだが、いざ奉納演奏を始めてみると、予想よりも鳴るではないか!!!

これには、本当に驚かされたし、鳴らない中での演奏というものを体験した事で、祈りの本質というものに、近づいた瞬間だった気がする。

バリ島で、神楽太鼓を演奏する事が許された気がした、奉納演奏だった。