Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

ブログ回想録:スペシャルな職人との偶然な出会い[2010.03.26. ]

先日の水曜日に、FM桐生の自分の番組Spiral Grooveで、フッと思い出した事を話して、ちょっと記憶に残しておきたいな、と思いつつ、その時のブログの記事を再度アップしておきたいと思う。

 

実は、オフィシャルサイト内にブログを開設して、2006年より日々感じたことや、出演情報などを書いていたのだったが、サイトへのハッキングが何度もあり、サーバーを解約して、昨年閉じてしまったのだ。

 

ーーー2010年、3月26日のブログ記事ーーー

 

年度末という時期は、学校や会社に所属していない人間にとっては、普通に春なのだが、あまりにも世の中の仕組みは、年度で動いているので、俺の様な人間でもその慌しさを身を持って知る機会もある。

今回は、まさにそうだった。3月中旬で車検の切れる車を、いざ車検の予約をしようとしたが、予約がいっぱいで車検の期限が切れるまでに、継続の検査を受ける事ができなかった・・・というわけなのだ。

昨今はユーザー車検が流行っているが、俺がユーザー車検を始めた頃は、20年近く前なので、まだ専用の窓口もなく、結構苦労したのを思い出す。

年度末は、税金等の切り替わる問題もあり、この時期はいつも陸運は混んでいる。しかし、ここまで予約が取れなかったのは、初めてだったなあ。

車検の方は、なんとか時間内に合格し、気分良く帰途へつく。そんな道すがら、不思議と気になる光景が目に入る。

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お稲荷さんと神社、寺院が一緒になった空間だった。そこには「片貝村社」と書かれてあり、鳥居を一歩境内に足を進めると、なかなか気持ちの良い空間が広がっていた。

参道を数歩歩くと、ふと右後方が気になり見ると、とても勢いの良い姿をした立派な松がそびえ立っているではないか!

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なかなか、こんな松にはお目にかかれない。

お稲荷さんにお参りしてくると、境内に造園屋さんのトラックが入っていて、職人さんがそこから降りてきた。

境内にトラックが入ってくるんだ・・・?と不思議に思ったが、職人さんに、とりあえず挨拶をしたら、ちょうど、あの松の手入れをしていた方だったのだ。

なんでも、4月11日に12年に一度という大祭があるらしく、伸びっぱなしになった松の手入れをかって出たのだという。

俺達だと奉納演奏という形になるが、こういった場合は奉職という風に記載されるのだという。結局、この職人さんと、小一時間ほど話をして、神社の空間を堪能してしまった。

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なんでも極めていくと、アーティスト的感覚が磨かれていくんだなあ、と感じた話だった。

特に興味深かったのは、

「あの松は、龍だから、ちょっとやそっとの気構えで剪定しようものなら、はじきとばされちまうんだ!」

という言葉だった。確かに、松の姿は、龍が天空へと飛翔するかの様な姿をしている。

「こういう木に手を入れていく時には、自分も龍になって手を入れていかなきゃなんないんだ!」

と感動的な言葉が発せられ、感動してしまった。

実は、大師匠ミルフォード・グレイヴスも同じような事を言っていた。ドキュメンタリー番組の中で、巨木の生えた森の中でのインタビューだったと記憶しているが、

「私は演奏する時、例えば、あの巨木の中に入り込み、うねる太い枝の中を流れるエネルギーを音やリズムに変換していくのです!」

という様な意味の事を言っていた。補足すると、大地のエネルギーが巨木という形を借りて、私たちの目に見える形として地上に現われている。その巨木の中を旅する様にイメージする事によって、そのエネルギーの形を自分の身体感覚を通し、音やリズムとなって現われる。という事ではないかと思う。

これは、とても短い文章だけで説明できることではないので、そんな機会があれば、また書きたいと思う。

驚いたのは、この職人さんと、前衛フリージャズの伝説的ドラマーが、同じ様な考え方でそれぞれの仕事に向かっているという事だ。

確かに、このおじさんは、大きな松を中心に剪定している方らしく、普通ではできない様な、巨木の植え替えなどもしている、特殊な職人さんらしい。

※この画像は、トラックの側面に貼ってあったものを撮ったもので、作業風景らしい。

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おじさん曰く、

「チャンスは一度しか来ない!その一度のチャンスをものにできるかどうかで、次のチャンスが来るかが決まるんだぞ!」

「人生で、自分を引っ張り上げくてくれる人は絶対居て、その時それにくっついていけるかどうかだ!」

「人とは違う事をやった方がいい!そして、変わり者と呼ばれた方がいい!」

神社の濡れ縁に座って、しばらく松を見ながらそんな話をして、不思議な時間が流れていった。

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今日のこの出来事は、ちょっとしたギフトだったのかな?と思える。

帰り道の夕陽が物凄い色で発光してたしなあ。

 

ーーーここより本日2018年10月21日の文章ーーー

「人とは違う事をやった方がいい!そして、変わり者と呼ばれた方がいい!」

この一文、素晴らしかったなあ、と・・・。

変わり者と呼ばれたいわけではないが、神楽太鼓奏者なんて名乗ってしまっているので、変わり者の部類には入っているんだろう。

 

明日の「おとなの遊戯2」も、そんな変わり者と呼ばれる方々が集結してくるわけだ。類は友を呼ぶとしか言いようが無い公演が、前橋で開催される。

おとなの遊戯2

Dragontoneブログ[イベント詳細記事]

 

おじさんと会ったのも、不思議と前橋なので、おじさんの言葉「チャンスは一度しか来ない!」という一説を心に刻んで舞台に立ちたいと思う。