賀茂神社の神楽は、上演の順番が3番目まで決まっている!!!
「白黒翁三番叟」「道開けの舞」「岩戸開きの舞」の順番で行って、この後はその時その時で違ってくるのである。
「白黒翁三番叟」で舞台を清め、その後に、この「道開けの舞」なのである。
言わずと知れた猿田彦命の眼力で、道を切り開いて行くというものだ。
この舞には、鉾回しという役が先行するのだが、個人的には、この「鉾回し」という存在が、非常に重要なのではないかと思えてならないのである。
この鉾回しは、大人よりも子どもの方がしっくりくるのも不思議だ。
今回は、甥っ子の草吉が担当。
一番品のあるお面なのではないかと、密かに思っている。
鉾回しが四方固めをしている時、太陽の光と相まって、なんとも神々しい光景の写真が偶然撮れたのも印象的だった。
いつもは、便利なのでスマホで撮ってしまうが、今回は、ニコンのD90という古いデジタルの一眼レフで撮ってみた。
昨今の撮影機器の技術の進歩は、相当に凄まじいが、俺が使う程度あれば、ある程度のところでもいいのかなという感じである。
やはり、スマホでは撮れない絵が映し出され、そのものの魅力より際立って見えるもんである。
猿田彦命は、小和田孝くん。猿田彦の舞ともだいぶ馴染んできて、舞の雰囲気も良い感じである。
地球と月の様な関係なのか、荒々しい猿田彦に対して、鉾回しは淡々とその進むべき道を案内しているという印象である。
大きな猿田彦と小さな鉾回しの対比もまた良い感じで、今までのここの神楽史上、今が一番良いバランスの「道開けの舞」なのではないかなあと思えるのである。
神楽は、囃子も舞もこれでもか!!!というくらいに、同じリズムや舞を積み重ねて行く。一枚の紙は薄くても何枚も重ねると分厚くなり、気がつけば随分と高い位置に達しているという原理と似ていると思うのである。
神楽に関わる多くのものの中に、陰陽のバランスがさりげなく散りばめられ、最終的に、中庸へと導いてくれるのが、神楽というものなのではないかと最近は思う。
見守っている師匠の視線も、なんだか温かい氣がする。
宵祭りが台風の影響で出来なかった分、例大祭の本祭のこの日は、清々しい日和となり、ここでも陰陽的な天候の対比があり、今回の秋季例大祭は、ひとつの節目となった様な氣がする。
今は亡き師匠から言われた言葉だが、
「この狭い神楽殿を、どれだけ広く見せることができるのか!が大切なことだ!」
そして、「神楽殿から帰りたくない、という気持ちで後ろ髪引かれる思いで神楽殿から戻って楽屋に帰るもんだ!!!」と。。。
猿田彦も、その様に、後ろ髪引かれる思いで、神楽殿から帰ってきて、「道開けの舞」の幕が閉じていくのである。
締めくくりは、鉾回しが、静寂感と共に神楽殿を後にするのである。
そんな「道開けの舞」、渋いが、とても素晴らしい幕だと思うのである。