こんなに早く梅雨が明けてしまった事にビックリだが、梅を干すにはバッチリの天候だ。
母に工程を教わりながら、先日の農カフェでの梅ギャラを梅干しにするべく奮闘している。
糸魚川で拾ってきた大きな石が、重さと大きさが絶妙だったらしく、だいぶ早く水がついてきた。この水分がいわゆる梅酢になるという事だが、昔は、この梅酢を得るために梅を漬けたという話も聞いたことがある。
畑に自生していた赤紫蘇を、ちょっと少ないが入れてみる。氣分的には、かなりの満足度があったが、梅が紅くなるには少なかったようだ。
上手いこと陽が照ってくれて、梅はたちまち乾いていく。異常な暑さの太陽真っ盛りの時だっただけに、その熱量が梅に入り込んでいったのではないだろうかと期待している。
本格的に作るのは初めてに等しいので、その作業や工程が、とても面白かった。この丸いザルも近くのホームセンターで購入してしまったので、来年もやりたいところだ。
最初のザルは、中心から螺旋状に丁寧に並べていったのだが、手間はかかるが、なかなか良い感じになった!!!
見た感じも美しい。
その次のザルは、数個まとめて並べていったのだが、早く並ぶ分雰囲氣が雑然としている感じで、今ひとつな印象。
結果的に、ひとつひとつ並べていくのが自分の好みにしっくりくるみたいである。
表面が乾いたら、裏返しにしたりするのだが、単純な作業の中に、かなり真理が詰まっている様にも感じてしまった。
同じ様に見える梅だが、並べて干してみるとひとつひとつに個性がある事に氣づく。そして、くっつかない様に適度な空間を空けるという面白さと、最終的に並べたことで出来上がるひとつのザルの中の宇宙観が、とても興味深いのだ。
何氣なく、当たり前に食べていた梅干しだが、ひとつひとつに手間をかけて愛情を注いで出来上がることを知ることができた。日々変化していく梅干しを観察するのも面白いもんだ。
修行時代に、土取さんのパートナーだった桃山晴衣さんに言われて、とても印象に残っていることがある。
「料理をする時には、いろんな作業を同時に進めていくけど、それぞれやっていることと意識を切り離してはいけない!」ということだ。
これを、今回の梅干しを作る時に、物凄く感じたのだった。
梅を漬けて、重石が効いてきている時も、それとなくどうなってきているかを氣にしつつ意識を向け、赤紫蘇を入れてからも、またその雰囲氣を想像したり、そして、干し始めて見ると、夜露が降りる夜の空氣を感じたり、梅を裏返したり、という具合にものすごく充実した梅干し作りだったなあと思えるのである。
もうひと干ししたいと思ったら、梅雨に逆戻りした様な天候になってしまったので、今年は、これで良しとして、甕にでも入れて梅干しとして楽しんでいくつもりである。
塩分は少なめので、梅の味がするのも嬉しい。これから、この梅干しが熟成していくのも、また楽しみであります。