Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

Shingetsu-Kagura Project vol.01. Dragontone2022

Shingetsu-Kagura Project vol.01.2023.10.15.

最初に、このプロジェクトにご参加いただき、心より感謝申し上げます。今 後、自分にとってかなり重要なものになっていく予感がしています。 様々な情報が飛び交う昨今ではありますが、物事の本質は変わっていないと も思えます。僕は、音の中に生きる人間として、音を介して特定の誰かと今 感じる自分の音を共有できたら面白いと思い立ちました。ある意味、物凄く 濃い個人的な音に対する感覚を発信していけたらと思っております。基本的 には、毎月新月近辺に音源をお届けしつつ、その音源に対してお知らせして いけたらと思います。

Dragontone 2022

01 Skybeat × Dragontone / 0110
02 立春大吉2022 ~ 彼方ヨリ来タル ~ / 0204
03 熊手八幡宮即興奉納DUO / 0423
04 赤城山麓山小屋神楽 / 夏至点 0621
05 高野山南院浪切不動尊奉納 ~鳴き龍の響き~ / 秋分 0923

06 香川大介×石坂亥士 ~火の音より~ / 1112

2022年は、自分にとってとても大きな転機となる年だったと言えます。個人 的なことになりますが、1月4日に息子が誕生するという、年明けからかな りの大変化の年の幕開けとなりました。一曲目は、1月10日のライブの音源 をサウンドコラージュしたものです。冒頭から聴こえてくる心音は生まれる直 前のものを奥さんが記録していたものです。西アフリカのヨルバ族には、バ タドラムという大中小のセットの太鼓があり、それぞれ父・母・子どもとい う役割を担っています。現地では、この太鼓が体調を崩した人の治療に使わ れると言います。体調を崩した人の心臓のビートやトーンは、正常な人のそ れに比べて変にずれているらしく、そのビートやトーンをバタドラムの演奏で 正常なものに導いてくるというものだそうです。そんな太鼓の起源のような バタドラムの存在に想いを馳せて、息子の心音を使わせてもらいました。自 分の心音が入っているからか、寝かしつける時にこの曲をかけながらおんぶ すると、確実に寝てくれるのです。そして、今もその効果は続いています。

二曲目は、毎年立春に開催している「立春大吉ソロライブ」からの音源で す。ライブのプロローグ的音源となっています。

三曲目が、とにかく聴いて欲しい音源です。四国の香川県多度津の熊手八幡 宮という空海の母に縁のある神社に、イベントで頼まれての奉納演奏をしに 行きました。なんと、この時、師匠の土取利行さんも一緒だったので、かな りの圧を感じつつ、最初は、外で神楽太鼓の奉納演奏をしていたのですが、 音を聴いた神社の方が、「どうぞ拝殿の中で演奏してください!」というこ とになりました。 拝殿に入って準備をしていると、「なんや太鼓があるやないか!!!」と、 土取さんが嬉しそうに呟いて、その大きな宮太鼓を叩き始めたのです。そこ から一氣に即興奉納DUOの幕が開き、まず今後ありえないと思える師弟奉納 の超貴重な音源となっています。音源使用の許可もいただけ、ここで紹介で きるのが本当に嬉しくもあり、ありがたい限りです。

四曲目は、夏至の日に赤城山麓の山小屋でのライブの終演後に、ちょうど夏 至点になるので、ちょっと演奏しておこう!ということで観客は関係者3人 と「コマちゃん」という犬一匹でした。なんと、コマちゃんがタイミングよ く夏至点の時間に吠えたという・・・、なんとも興味深い音源となっていま す。

五曲目は、秋分の日に高野山南院浪切不動尊の鳴き龍の下での奉納の音源で す。通常の響きには無い音(鳴き龍の声の様な)が入っていたので、その音 を増幅させています。高野山という聖域での音の響きは素晴らしいものでし た。

六曲目は、絵師・香川大介くんとの共同作業です。「火」をテーマにしてお 互い、それぞれの世界を創り出していくという新しい試みでした。これがき っかけとなり、定期的に二人で集まって、セッションを重ねているところで す。一人では現れない世界観が二人でこの共同作業をすることで、お互いの 何かを抽出し合う関係のようで、とても興味深い時間となっています。この 時の音作りが2023年の音へと繋がっていくのを強く感じました。

師匠から聞いた話ですが、音は、目に見えない分、様々な真理に一番近い存 在と言われているそうです。そんな音に携わる人間として恥ずかしくない活 動をしていきたいと思っております。ひとまず、残りの11回の新月の音の便 り楽しみにしていてください。