Shingetsu-Kagura Project vol.05 2024.02.10.
毎年恒例として立春の日に開催している「立春大吉」というライブがありま す。このライブは、東日本大震災の起こった2011年に、桐生市有鄰館で始ま り、その後、地震の影響で有鄰館の建物に修復が必要となり、一年間使用で きない状況となってしまい、翌年のみ栃木県の足利市にあるスペースで開催 しました。 それ以降、毎年開催することができて、今年で14年目になります。昨年末 に、2024年は地元の桐生市以外での開催をしようと決め、2月8日に都内の 本所地域プラザBIG SHIPにて「立春大吉」のライブを無事に終えることがで きました。 当初は、ソロライブの予定でしたが、ご縁が重なり懇意にしている武術家の 深井信悟さんが参加を表明してくれ、今年に入って、素敵な兄貴的存在のデ ィジュリドゥ奏者のKNOBさんが駆けつけてくれる運びとなり、かなり豪華 な会となりました。 奇しくも、「立春大吉」というライブが始まるのが、大きな地震の年と重な っているのは、もしかしたら必然なのかもしれないとさえ思えます。 そして、2月8日は自分の誕生日でもあり、事始めの日でもあるというのも、 かなり意味深でもあります。今後、新たなカタチの「立春大吉」ライブが始 まっていく予感がしています。 今回は、最初の新たな「立春大吉」ライブの音源を紹介したいと思います。
立春大吉2024@BIGSHIP / 石坂亥士 (アジアン重金属打楽器・神楽太鼓) × KNOB (ディジュリドゥ・石笛・五十鈴・声) × 深井信悟 (演武)
01 音連れのジンベ / 02 石の祈り-龍神祝詞 / 03 銅鑼銅鼓×ディジュリド ゥ / 04 古の記憶 / 05 畝り / 06 立春大吉2024 神楽太鼓Solo
冒頭シーンでは、西アフリカの太鼓(ジェンベ)で登場して、その後、立春 大吉のお札を置いてある祭壇に挨拶をしました。昨年、能登へ行った帰りに 新潟県の糸魚川市の海岸でいただいてきた丸石ふたつを、大きく大地が揺れた彼の地への様々な思いと共に響かせています。
KNOBさんは、一番多くセッションしている方で、誕生日が自分と一日違いの2月9日で、一年と一日違いの縁の深い兄貴という存在です!!! この日も、打ち合わせはほぼ無しで、後から入って来るという事のみでし た。 銅鼓(約1,000年前の出土品)と鳴り物でゆったりと始まった中、KNOBさんの火打石の切り火の音が響き、その後五十鈴の原型とも言われる出土品の 優しい響きの中にもかなり濃厚な音が、一氣にその場を儀式空間へと誘い、 龍神祝詞が始まり、ここはどこなんだ!?という具合に(笑)。
そして、次のシーンでは圧巻の巨大ディジュリドウの重低音と倍音の渦が、ゴ ングの重低音と炸裂する倍音と破裂音と融合したことで、ありえない未知の 音像が出現した印象です。辰年ということもあるからか、この音源を最初に 聴いた時、自分の出している音像が、まるで龍がそこに居る様な感覚を覚え ました。勿論、龍が見えたりするわけではないのですが・・・。 そして、KNOBさんは、その龍を導く龍使いのような印象でした。興味深い のは、この二人でセッションしている時に、その場で武術家の深井信悟さん が演武をしているわけです。その彼の身体が蠢く空氣と氣配が、立ち上がる 音像をその氣でかき回して渦を創っている様な感覚もしました。 三者三様に、リラックスしてその場に臨んでいて、KNOBさんは風呂上がり の様なリラックス度満点な状態でもあり、深井さんは、「何かやりましょ う!」みたいな、かなりリラックスした状態で、お互いの存在を信頼し合え る仲だからこそできた、立春大吉の音像がここに記録されています。 前半は、儀式トリオとでも言いましょうか、異色の三者による即興セッショ ンの迫力満点の音が生まれました。後半の神楽太鼓のソロは、記録程度です が、臨場感は伝わるかと思います。3拍子系のリズムから入るという、あまり無い始まりとなり、儀式的音の在り方も含め、そこに居る人々から伝わる 空氣感がそうさせた氣がします。自分の受けた印象としては、場も含め、身 体を中庸の状態に導く様に、ラストには完全に頭上から「それが何なのかは 分かりませんが」何かが抜けて行った感覚もありました。 同封した「立春大吉」のお札は、立春当日に桐生で開催したソロライブの音 と、この8日に開催した奇跡のセッションの音が記憶されているものです。家 の柱などに貼っておくと厄除けとなるそうなので、もしよろしければお使い いただけたら幸いです。