Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

自然からの教え

津軽最大の秋祭りである「お山参詣」は、霊峰岩木山へ秋の実りの感謝や自身の厄除けとして、旧暦の8月1日の朔月の御来光を岩木山山頂にて拝するという信仰の祭禮である。

この写真は、10年以上前に御来光を拝した時の岩木山山頂でのものだ。

20代はじめの頃に、白州ダンスフェスティバルで、このお山参詣の登山囃子に出逢った!!!

母の郷里ということもあり、物凄く衝撃を受けたのと、不思議と自分にしっくりくる心地良さを感じたのだ。

保存会の会長さんに連絡先を聞いて、連絡を取り合い毎年の様に津軽に通っては、登山囃子の太鼓を教わったのを思い出す。そして、今も交流は続いており、自分の音のひとつの原風景とも言えるものとなっている。

今年は、この旧暦8月1日はイランツアーの真っ最中のはずが・・・。

なんと現地の政治情勢の関係で急遽延期となってしまったのだ。

岩木山へ行こうかどうしようか思案していたタイミングで、8月末に小沼でご一緒した深井さんから、夜神楽的に夜を徹した機会を、またあの場で共有したい旨の連絡をいただいた。

これは、もう一度あの場所へ行け!!!ということだな、と解釈した次第だ。

[写真:西原直紀]

誰に何をというわけではなく、小沼という大自然と向き合う時間。修行時代は、よく自然の中へと出かけて意味もなく時間を過ごしていたのを思い出した。

きっと、あの時感じた空氣や音や匂い、皮膚感覚、畏怖の念などのもろもろが、今に結実しているのだろう。

凄い場所というのは、厳かに音が沁み入る様に響いていく。この日の小沼は正にそれで、初めて妙義神社の拝殿付近で音を出した時の感覚に近いものがあった。

音の密度が、尋常ではないほどに濃くて繊細という感じだろうか。特に金属系の響きはダイレクトだ。

ついつい楽器の音を鳴らそうとしてしまうが、鳴らす必要はなく、自分が鳴らしているのではあるが、自然に鳴る感覚に近いかもしれない。まあ、ようやくその感覚が掴めてきたので、ひとまずスタートラインに立てたようだ。

最近知ったが、赤城の龍神榛名山妙義山へも行き来して、上手い言い回しが見つからないが、上毛三山を繋いで関東を守護しているんだとか。。。。

音の皮膚感覚でしかないが、なんとなく腑に落ちるところがある。

実は、2015年の3月11日に、早朝の大洞赤城神社での奉納演奏から始めて、榛名神社妙義神社と、突き動かされた様に一氣に奉納演奏して回ったことがあったのだ。下記リンクより販売もしてますが、無料で音源の試聴可能なので、ご興味ある方は是非!!!

目まぐるしい今の世の動きや、自分で掴み取るわけではなく、あてがわれるままの情報過多の時代にあっても、基本的には何も変わっていない場所もあるのも事実なのだ。

gaishiishizaka.bandcamp.com

何があるわけでもない。自分と大自然があり、それは鏡を見せられている様でもある。

この場所で何回も奉納演奏をさせてもらっているからか、なんとなく穏やかに迎え入れてもらえている氣がしているが、それも勝手に感じているだけかもしれない。

ただ、そこに座っているができたことに感謝である。

こんな個人的ないわゆる奇行に、快く楽しんで付き合ってくれた粋な仲間(西原直紀くん・小林 健さん・コマちゃん)が二人と一匹いたのも、嬉しいことだった。

夜を徹してという当初の予定だったが、雨が落ちてきたのと、なんとなく「ここまで!」と言われた様にも感じ、21時過ぎには撤収となった。

以下リンクは、直紀くんの記録映像。

20230913 - YouTube

駐車場まで上がってきたら、しばらくして雨は止み、その後は大人キャンプ的直会の時間となったのだった。

直紀くんの手際良い差配によって、カレーうどんがふるまわれ、最高の直会となり、みんなで小沼の清々しい朝を迎えたのでありました。

 

10月8日は、妙義神社から桐生のBORDERへ

10月8日は、妙義神社の天空の社祈願祭(星祭り)で奉納演奏する予定だ。妙義神社との縁が繋がったのが、コロナが流行った年からで、様々な事象は確実に繋がっている様にも感じる今日この頃。

天空の社祈願祭は、始まったばかりのお祭りでもあり、ちょうど第二回目から参加させてもらっている。

11時から妙義神社にて!!!

どなたでも見る事ができるので、ご興味ある方は是非!!!

昨年の記録映像はこちら!!!

その後は、打って変わって桐生のJET BLACK BARでのイレギュラーライブだ。

桐生市有鄰館でライブをした時の、二次会で寄ったのが縁となっての今回の不思議な取り合わせとなった次第。

泉龍院の大澤尊光さんとのセッションかと思えるイベントになってるが、基本的には別々という話で落ち着いてはいる・・・。

まぁ、しかしだ!!!

その時の雰囲氣で何が起こるかはわからない。。。

会場的には劇的にギュッっとしているので、本当にここでやるのか!?と思ってしまうかもしれない。音圧は危険なレベルへ突入する予感しかしないが、個人的にかなり面白いのではないかと思っている。

JET BLACK BAR / 群馬県桐生市末広町3-8

 



 

Shingetsu-Kagura Project

今年に入ってから、朧げに考えていたことを、この新月のタイミングで始めることにした。

それは、「Shingetsu-Kagura Project」として、毎月新月近辺に一枚の音源を届ける試みなのだ!!!

まあブログもそうだが、SNSなどでネットを介して、不特定多数の皆さんに情報を発信していく作業は、この時代においては必要なことだとは思うのではあるが・・・・

楽家として活動していく中で、基本的にブログでは文章で情報を発信しつつ、ダイジェスト音源や映像を紹介している程度だ。

しかし、積み重なっていく自分の音の世界は、ここ数年どんどん広がりを見せ、ありがたいことに螺旋状に急上昇しつつ、その録音音源もかなりの数が揃って来ている。

 

そんな音源を、今後どうしていくのがいいのかを模索してみた一つのやり方を、今月から試みてみようというわけなのだ。

 

 

ご興味持たれた方、是非一緒にこのプロジェクトで、不特定多数を対象にした浅い情報ではなく、とにかくピンポイントの濃い情報を共有していきませんか!!!

毎月、リアルに物理的に誰かに手紙を出す感覚で、音源を届ける作業を楽しめたらなあと思っております。

 

◎「Shingetsu-Kagura Project」

石坂亥士の未発表ソロ演奏音源、もしくはセッションした音源を毎月お届けするという試み。

クオリティー的には損はさせませんが、好みでない場合もあるかもしれません。その旨ご理解いただき、活動の応援も含め、このプロジェクトに参加して楽しんでいただける心の大きな方のご参加をお待ちしております。

 

○2023年10月分〜2024年9月分までの計12枚 参加費 20,000円(送料込み)

音源(CD-R版)1枚とその音源に伴う文章や雑観などプリントして同封いたします。

住所・氏名を明記して、下記のアドレスまでご連絡ください。振り込み先をお知らせいたします。

※9月15日の新月に募集を開始して、10月の新月からお届けする予定。途中申し込みも可能ですが参加費の変動はありません。その場合、最初の月に経過してしまった月分の音源もまとめてお送りします。

申し込み・問合せ  dragontone@gmail.com

 

   2023年9月15日(朔)  石坂亥士

 

 

 

諏訪大社上社前宮へ

昨夜は、せっかく伊那市まで足を伸ばしたので、諏訪大社上社前宮へ行くことに決め、急遽宿を取って諏訪湖にほど近いホテルに宿泊したのだった。

昨夜は、諏訪湖が近いからなのかは不明だが、物凄く風が氣持ち良く感じた。

そして、今朝も同じく風がとても氣持ち良かった。

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この前宮の巨大な狛犬の迫力は、毎回新鮮に驚かされる。

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ここは、やはり水を感じる場所だ。冷たい清らかな水が、いつも変わらず上流から流れて来ている。

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流れ続ける事で、水は生き生きとキラキラ輝いて見えるし、この場の清浄さを保っている様に感じる。

今年は、特に感じる清らかな水の大切さを感じているが、まさにここに来て、その思いは一段と強くなった。

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諏訪湖方面から向かったのは、富士山方面。硯水不動尊の霊水をいただきに行くことにしたのである。

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ここに来て感じたのも、また清浄で美味しい水のありがたさだ。

極端な言い方かもしれないが、美味しい水に、勝るものは無いと言ってもいいかもしれない。

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ここは、かなり濃い祈りの空氣に満ちていて、どことなく母の郷里の津軽の空氣に似ているのが、何度も足を運んでしまう要因かもしれない。
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今日は富士山は見えなかったが、明日はどうだろう。
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夕闇が降りる前の束の間のひと時、空をキャンバスに薄雲が何かを描いている様にも見えた素敵な光景を見る事ができた。

今回の、この南信から富士山方面への行程が、かなり色濃く次のアクションに繋がっていく予感である。

氣になる展示会へ

昨日は、思いついて行動に移すことができた日だった!!!

行きたいなぁ!と思いつつも、状況的に難しかったのだが、なんと1日勘違いしていたと言う事実を朝起きて知ったのだ。

それは、氣になっていた「音の展示会」で、音楽家の友人でもある夏秋さんと真由美ちゃんが開催しているもの。

なんだか良く分からないが、妙に心惹かれる展示会だが、3日間しか開催していない。

一路、信州の伊那市を目指すことに!!!

雲が湧いてくる感じが、なんとなく南信を感じる。

会場の「円室」は、茶室が二つ隣接する様な素敵なスペースで、そこには、入ってすぐの一部屋に四方にスピーカーが置いてあり、隣の部屋の四方に配置されたマイクの定位から音が出るシステムとなっているとのこと。

とても興味深いし、多くの人へ発信すると言うよりは、隣の友達へ音の楽しさを届ける感覚。

コンセプトも素敵だが、並んでいた楽器類からもかなり刺激を受けた。

ガムランの鍵盤は、一本ずつ吊り下げられており、目から鱗の展示。

吊られた鍵盤を叩いても音は鳴るが、隣の鍵盤と鍵盤を当てることでも素敵な音が響く仕掛けだ!!!

センスは大切だなあ・・・としみじみ感じ入った次第。

真由美ちゃんのかわいい音のコレクションと夏秋さんの本格派コレクションのギャップが絶妙なバランスで展示されており、目と耳を楽しませてくれる。

特に氣に入ったのが、この丸い真鍮の板。

物凄く深くて良い音が響いていた。

ちょうどこの二人で結成したと言う、アートサウンドユニット「ephyra -エフィラ-」の即興ライブも開催された。

参加型の時には、少し参加させていただき、即興の達人の夏秋さんと響き合わせができて、短いが充実した時間となったのでありました。

清々しい二人の即興ユニットは、かなり深い部分まで潜る様な感覚もあり、今後、要チェックである。

「ephyra -エフィラ-」とは、クラゲの赤ちゃんのことらしい。

音の呪力と繋がっていく即興の赤い糸

8月26日、27日と、ここ数年恒例となっている原始感覚美術祭へ参加してきた。

今年は、宵祭りと本祭りの両日参加することになり、ある意味のピークは宵祭りのオープニングだった。

www.primitive-sense.com

シンガポール在住のアーティスト、ザイ・クーニンさんは、コントラバス演奏家である故齋藤徹さんと生前から活動を共にされ、親密な交流を持っていたとのことで、今回の原始感覚美術祭では、彼への想いを作品に込めて上演することになった。

そこに俺も音楽家として参加する流れとなり、何故かチャンゴを使いたいということで、俺のチャンゴを持って行くことになった。

それは、彼が齋藤徹さんと共演していく中で、韓国のシャーマンと一緒に作品を作ったことがあったそうで、その方にチャンゴを少し教えてもらって、そのチャンゴをいただいたという経緯があり、彼も病気をされてチャンゴを日本に持ってくる体力が無いが、今回はチャンゴを使いたかったという話を聞いて納得だった。

小鼓の久田舜一郎さん、ザイさんのチャンゴとパフォーマンス、俺の銅鼓と神楽太鼓、杉原くんの舞という取り合わせで、齋藤徹さんへの追悼の意を込めた公演が開催されたのだ。

実は、生前に徹さんとお会いした時、俺がサムルノリをやっているという話から、韓国の音楽家と共演した時に聞いたという話をしてくれ、その話から多大な影響を受けていたのである。

 

「韓国の音楽は、病氣の人が治る様に演奏するもんなんだよ!って共演した、サムルノリの李光寿[イ・グァンス]から教えてもらってビックリしてさあ!!!」と楽し氣に話してくれたのだった。

 

ということは、ザイさんはイ・グァンスさんからチャンゴを・・・ということになるわけだ。

俺がサムルノリを習っている康明洙先生は、サムルノリの先生方の直径の弟子なので、そのイ・グァンスさんの弟子でもあるわけで、無関係ではないという流れになる。。。。

ザイさんにとって、俺は初めて会う音楽家であり、その実力も定かでないので、事前に多少のやり取りがあった。その中で感じたのは、ザイさんの徹さんへの強い想いだった。

即興ではあるが、30分刻みの三つのブロックで行う提案がされていた。一部は久田さんの小鼓とザイさんのチャンゴ、2部は俺と杉原くんの舞、3部は久田さんとザイさんで、ラスト15分になったら銅鼓を入れるという流れだったが・・・・

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小鼓とチャンゴの形状は似ている。音は似て非なるものだが、その形から練り出される音は、それぞれの民族性や文化の色を強く含んでいる。通常バチで演奏されるチャンゴを、ザイさんは素手で演奏していた。チャンゴは、低音の鳴るクンピョンと高音の鳴るヨリリョンがあり、クンピョン側で創る音は渦を巻いて、その渦にヨリピョン側から音の矢を放つという、陰陽を統合する楽器でもある。

小鼓の事はあまり詳しくないが、チャンゴとは対照的に片面のみを右手で打ち、左手の調緒の締め具合で、瞬時にトーンをコントロールして音の潤みがとにかく豊かだ。そこに声が入ってくるので、鼓のみで表現できる世界はかなり深い。

そんな日本と韓国の音を操る、両者のセッションから始まって行った。

 

俺が使う銅鼓も、また鼓面の陽とその裏側が陰とされ、表面から放たれる陽の音と裏面から放射される陰の音が同時に生まれる楽器という。

今回のセッションは、楽器的にもかなり呪力の強いものとなったのもとても興味深かった。

 

なんと言うか、即興の神様は、予定調和は望んでいないという事か、俺の身体はその場の空氣を察知して、10分を過ぎた頃には風鈴などの小物を鳴らし始めていた・・・・。

大御所が二人で展開する1部へ、だいぶ突っ込んで行っただけに、その後の流れは変わったに違いないが、これは確実に良い方に変わって行ったと思える展開だった。

杉原くんは、床に突っ伏して床板と自分の腕を摩擦させて音を出して長い廊下を這ってやって来たと思えば、会場を横切って、その床下を通り抜けて、木崎湖へダイブして来たらしい。

上の写真は、杉原くんを追いかけて、見に行っている観客たちだ。

自然な流れでそうなっているので、ザイさん的にイメージしていた部分はあるとは思うが、その後の赤い糸を血液に見立てて展開されるザイさんのパフォーマンスも最高で、かなり良い感じだったと思える。

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生前、一緒に舞台に立っていた久田さんやザイさんの想いとは違うが、俺も齋藤徹さんから間接的に影響を受けているので、今回の公演は、非常に意味のあるものとなった氣がしている。

ザイさんの操る無数の赤い糸の玉は、その後散りばめられて行き、それは闘病をされていた徹さんとかなりのやり取りをされていたザイさんが感じた、血液がジュクジュク沸騰する様な感覚も込められていたらしい。

俺には、その赤い糸は齋藤徹さんからの即興の糸が繋がっていく様にも感じられた。

ラストシーンは、久田さんが「徹さぁーん!徹さーん!居るかぁ!?居たら返事しろ!徹さん。」と空間への呼応で幕を閉じた。

終演後には、それに呼応するかの如く、雷鳴が轟いていた。

ひとつの儀式が完結した瞬間だったのかもしれない。

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翌日、ザイさんがその糸で編んだブレスレットを腕に縛ってくれた。関係者に作ってくれていたらしく、きっとここまで彼のパフォーマンスに含まれているんではないか!?と思えて、ザイさんマジックの深い術中にハマってしまったのだった。

このブレスレットは、原始感覚美術祭の全ての演目が終わって、打ち上げも終わって、ちょうど12時頃にフッっと外れたのには驚かされた!!!

もうザイさんが、シャーマンにしか思えない。

天空ノ祭禮2023 無事に!!!

今年も、天空ノ祭禮を無事に行うことができました。

駆けつけてくれた皆さんをはじめ、武術家の深井信悟さん、そしてそのお弟子さんたち、古木人形のSHIN、関係者スタッフのみんなに心より感謝です。

[写真:中田円]

前夜の奉納のシーン。静寂の中にこそ激動ありという流れるような写真。

相反する要素が同時に存在することが、静寂感をより加速させている氣がする。

当日は清々しすぎる光景が広がっていた。

今年は、直紀と高橋さんの二人が入水して、氣合い入っておりました。

時折、清々しい風が吹いてくる中、それにたなびく風鈴の音がとても氣持ち良かったのが心に残る奉納演奏だった。

それぞれが、それぞれの立場でシンプルにできることをする。自然の中では、やはり自分の実力がハッキリと感じられるので、とてもありがたい時間でもある。

石笛は、前日に糸魚川で拾ったものを使ったが、穴が長細いので鳴らしにくいが複雑な音がして、とても良い感じだった。シンギングボウルの音や石笛の音にリンクするように風が吹いてくるのが心地良く、自然の中での演奏というのは、良いもんだなあとしみじみ感じる時間でもあった。

銅鼓セットのバリエーションが、かなり充実してきたのも嬉しい!!!

小林さんとコマちゃんは、大地に寝転んでリラックスモードだが、このコンビが神楽太鼓を運んでくれたのである。

神楽太鼓を背負う姿が、しっくりきているのもなかなかに凄いことだ!!!

来年もこの場所に立ちたいもんである。