今年の「夏越ノ大祓」は、当初、奥能登を拠点に活動している舞手の三輪福さんをゲストに考えていたのだった。しかし、能登地方を襲った元旦の大地震で状況は一変 。。。
三輪福さんは、現地での復興活動に身を置いているのである。
こんな時、無理に一緒の舞台に立つ必要もないわけで、それぞれの場で、やれることを大切に行うことが、次に出会った時の密度も濃くなるとも思えるのだ。
そんな経緯がありつつ、今回は、音叉の鉄人的存在のKさんに白羽の矢が!!!
そして、いつもは舞台を組んでくれている高橋 和之さんに舞台美術をお願いし、「おじさんトリオの夏越ノ大祓!!!」が実現したのである。
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高橋さんは、舞踏公演の舞台美術にも関わることが多かったこともあり、彼の作った竹の骨組みから垂らされた布は、ある意味芸能の根源的なビジュアルを空間に映し出していた様に感じられた。
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自分の中で、今!!!
神楽というものの存在が、不思議と熟してきているのを感じており、実は、今年の夏越ノ大祓では、神楽で行われている四方固めの要素を取り入れて見たいと思っていたのだ。
そこに、高橋さんが神楽で使われる「雲(天蓋)」の変形版を出現させるという、イメージのリンクまで発生するという!!!
「雲」は、修験の流れが神楽と融合して取り入れられたらしく、「雲」自体が生き物の様に意思を持っている風でもあるのだ。
おそらく、この「雲」がアンテナのような役割となり、見えない世界へこの世からの祈りの感度を上げて発信しているではないかと思えた。
全ての音や氣配を、この傘が吸収していく様にしか感じられなかった。
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Photo:Michi Ishihara
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石原ミチさんが撮ってくれた写真が、その日の濃密な世界を切り取ってくれている。
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イメージのリンクは止まらなくて、Kさんが最初に会場の四方固めをするべく、大きな音叉を持って、四隅を回っていた。
俺は、外に待機していたのだが、グンタの音が鳴ったかと思ったら、重たい金属を床に落とした凄い音が轟いた!!!
瞬時に、「大きな音叉を落としちゃったな!!!」と思った反面、正に祓う音だなあとも感じられ、きっとその場に居た皆さんは、良い意味で「ハッ」としたことだろう。
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そんな素敵な始まりから、夏越ノ大祓2024 は始まって行ったのだった。![f:id:dragontone:20240627002857j:image f:id:dragontone:20240627002857j:image](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/dragontone/20240627/20240627002857.jpg)
巨大音叉の揺れる音はシンギングボウルの様でもあり、この写真の様に空間を振動させ、全てのものに浸透していく。
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そして、俺も空間を揺さぶる様に傘にコンタクトしていく。
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傘の下には、結界にするべく四方に石を配置した。
自分のやっている神楽では、四方固めを執拗なほどに行う。四方固めというのは、神楽殿の四つ角を所作や動きや音によって、とにかく清めていく行為だ。上から見ると、正方形の中にバッテンが描かれた図形となる。変則的に、そこに三角が加わる場合もある。
結界というものは、その中を清めるというイメージが強いが、清められた結界の張られた場所が起点となり、そこからジワジワと清まった状態がその周囲へと浸透していくということらしいのだ。
神楽師の先輩から、昔から、お祭りがなくなっていく地域は、衰退していくという言う話を聞いたことがある。それは、お祭りの時に、神楽で結界を張ってその場が清まり、それがその地域に時間差で浸透していくからなのではないだろうか!?と最近思ったのである。これは、長年不思議に思っていたことが、ここにきて腑に落ちたのである。地域の衰退云々は、もろもろ要因はあるだろうが、そんなことも関係している可能性もなくはないだろう。
勝手な見解ではるが、その効力は半年程度なので、春と秋にお祭りを行うということなんだと思うのだ。
話は逸れたが夏越の大祓も然りで、6月末に行って、年末にまた一年の祓いがあるのもの頷けることだ。
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神楽に30年以上関わってきて、神楽が身体に浸透してきているのをなんとなく感じている。そんな中で行われた夏越ノ大祓2024は、正に神楽の世界観が出現していたのだと思うのである。
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蜘蛛の巣の様に張り巡らされた傘の結界を結ぶ大小さまざまなビーズは、高橋さんが夜な夜な作り込んでいた渾身の力作だ。
数珠を手首に巻いたりしてお守りにしている人も多いが、これは、正にそんな数珠の変形版だったと思える。六角形の中に三重に張り巡らされた数珠の結界が、視覚的にも儀式的にもかなり良い仕事をしていたのではないかと思えてならない。
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必然な流れだったのか、Kさんから「一緒にやってくれ!」と娘に出演のオファーがあり、彼のソルフェジオガンクを預けられてしまったのだ。彼女は、神楽師としては天照大神役をやっているが、今回いきなりの舞台デビューとなった。
俺が頼んだわけではなく、他からの力で舞台に立つことになったのは今後興味深いところだ。
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Kさん命名の「アマテラス無邪気ーず!!!」の二人。
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会場作りから、音響、照明、記録、もろもろ関わるスタッフみんなが、最善を尽くして舞台が進んでいけることが、とても嬉しい。![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/dragontone/20240627/20240627114651.jpg)
そんな空氣感を音へと昇華していく。
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一番のポイントは、関わる者がそれぞれを信頼していることに尽きるのかもしれない。
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微細な音叉の音もマイクで拾って、バランスをとって会場に流れしてくれ、神楽太鼓の大音量の中でも音叉の音が効果的に響いていた。
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今、周波数の世界は、かなり熱いらしく、祓う周波数もあるとのことで、夏越ノ大祓なので祓う周波数をガンガン鳴らしてくれたとか!!!
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ご来場いただいたみなさんをはじめ、出演者、スタッフ関係者のみなさんに、心より感謝です!!!
どうもありがとうございました。
今の自分たちを取り巻く環境は、かなり厳しい現実もありますが、大人に混じって10名ほどの子どもたちが、この渋〜い舞台に来てくれたという奇跡は、とても嬉しい現実でした。
子どもたちの声や、走り回るエネルギーが会場に満ちて、これもまた神楽の世界観でもあるわけで、泣こうがわめこうが乳幼児まで大歓迎のスタイルは今後も貫いこうかと!!!
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俺のやっている賀茂神社の神楽では、「白黒翁三番叟」という幕が最初に行われ、それが終わった後に、供物として上げてあった御神酒を「サンバの御神酒」と言って必ず飲むのが慣わしとなっていて、これは、飲めない人も舐めるだけでも身体に入れることになってます。
「サンバの御神酒」を飲むことで何事もなくお祭りを行うことができると言われているのです。
今回のサンバの御神酒は、いつも来てくれる長田さんからの差し入れを開けました。おそらく、かなりの周波数がお酒に転写されていたんだろうなあ・・・。