Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

2018年に出逢った記憶に残る音

 2018年の始まりは、FM桐生で毎週水曜の21時から放送している、Spiral Grooveの10周年記念企画の即興セッションだった。

Time AspectのSEIDOさん、大南さんと、Crystal Dragonで共演を重ねている、たんたんさんを迎えての、即興セッションだった。

パフォーマンスとノイズ系の音をあやつるSEIDOさんとピアノの大南さんのTime Aspectの音世界は、繊細かつユーモアに溢れ、そして実験的でいてエッジの効いた、とても好みなものだった。

そこに、たんたんさんと俺のユニットCrystal Dragonの何層にも重なる通奏低音の様に唸るクリスタルボウルの音の波の中、大銅鑼や神楽太鼓のリズムと響きが錯綜していくカオス的でありつつも確実に唸り上がっていく音世界が、お互いの世界観を残しつつも絶妙に融合していった。

特に大南さんのピアノと俺の神楽太鼓が、楽器の特性上、打楽器的リズムと倍音のスリリングなやりとりが続き、まさに個人的好みなインプロビゼーションの世界が広がっていったのだった!!!

年明け始めから、これよりスリリングなセッションが今年あるのかな?というほどのやり切った感があるセッションとなったのだった。

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4月には、新しいフルアルバム「新月神楽 Shingetsu-Kagura」が完成しての記念ライブを開催した。

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場所は、ホームの桐生市有鄰館の酒蔵である。アルバムのほとんどをこの酒蔵で録音したので、ここから始めるのは、とても意味のあるものと思ってのことだった。

アルバムには、15分という長尺で収録した、甥っ子の草吉との即興セッションがある。

この時も、スペシャルゲストとして、ラストに草吉との即興セッションをしたのだが、彼の演奏終わりの潔さは、素晴らしかったのだ!!!

完全即興でのセッションの場合、この終わり方というのがとても大切だと思っていて、

「終わるタイミングは、自分の感覚を大切にして、共演者がいようがいまいが、それまでの演奏した音を大切にしつつ、自分の音を自分で終わりにする!」

と、その事をいつも伝えてきていたのだ。

この時の草吉の大銅鑼の演奏は、音のやりとりを楽しみつつ、ラストシーンは一気にたたみかけて、自分の音の終わりを告げて、清々しい風の様に舞台を降りていった。

その終わり方は、俺に対しても刺激を残しつつ、その後の展開も自由になる余白も残して、4年生にして玄人の様だったなぁ。。。と!笑

大師匠と仰ぐミルフォード・グレイブスや、師匠の土取さんの即興感覚というものが、次世代へと繋がっていって欲しいと思うのである。

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自分の音の原風景は、八割から九割が青森にあると思っている。その中でも母の郷里である津軽が一番影響を与えてくれているのだ。

幼少期に、イタコの儀式に連れて行ってもらっていたらしく、全ての記憶が鮮明に残っているわけではないが、その濃密な空間に何故か不思議な太鼓の響きがあったのが断片的に記憶されていて、小さい頃は、相当な頻度でその夢を見ていた。

それがイタコの儀式だったというのは、母から大人になって聞いて、妙に納得したのだった。

そんな津軽の象徴に、霊山岩木山がある。この山は、津軽のみならず青森の人たちが普通に信仰しているという、素晴らしい山なのである。

その麓に環状列石を配した遺跡があり、運良くも、その場所で音を響かせることができた。

古代の人々が、この場所から岩木山へ向けて祈りを捧げていたのではないか!!!と思えてしまうほどに、岩木山山頂へ向けられた環状列石の配置。

この時、岩木山には雲がかかり、山は見えなかった。演奏を始めると、雲が動き始め、雲の切れ間から光の道も出現し、そして山頂が現れたのだ!!!

演奏が終わると、再び山頂は雲に覆われていったのだった。

この津軽の象徴的な岩木山を取り巻く自然環境と、あまりにもドラマチックに音が呼応するかの様な体験は、暗中模索しながら進んできた自分の道を後押ししてくれている様にも感じ、あらためて、自分が津軽という土地に縁があるんだなぁ、と感じたのだった。

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また、演奏活動と並行して、生まれ育った群馬の桐生で、神楽師をしているわけだが、かれこれ25年ほどが経とうとしている。

そんな中で、この大胴と呼ばれる太鼓の音とリズムの宇宙観が感じられ始めてきたのだ!!!

この太鼓は、メインリズムを受け持つ、高音のツケ太鼓の世界観をグイグイ加速させたり、ノリを変化させたりできるマスターが担当するものという位置付にある。

以前から、この大胴を叩いてはいるのだが、これほどまでに深い世界が展開されていたのかぁ・・・!!!と驚愕してしまったほどだ。

やっと入口の鍵が開いたかな!?という、感覚があり、この大胴との関係が、これからものすごく楽しみで仕方がないのである。

これは、もう個人的でマニアック過ぎる世界なのではあるが、亡くなった太鼓の師匠が感じていた神楽の音の世界を目指したいなぁ、というところだ。

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10月3日にニューアルバムが発売となった、KING OF  OPUSの仲君と、アルバム発売を記念して、FM桐生のSpiral Grooveの生放送でスタジオセッションをした。

仲君は、近所に住む同い年の音楽家で、エキゾチックダブというジャンルでは、レジェンド的存在!!!

そんな彼のセットは、シンセをはじめエフェクター等のエレクトリックな装置がメインで、プラス鍵盤ハーモニカ。

俺は、古いジンベと平太鼓に、チェンチェンプラス鳴り物各種。

俺の生音を仲君のエレクトリックなフィルターを通して音像を作っていく。

久々にセッションしたのだが、お互いベストなタイミングだった感じがあり、今まで感じたことのない音の世界が出現したのだ!!!

それぞれの良い部分が激的に加速をみせて、更なる次元を目指して、次のセッションを約束してしまったのだった!

同世代で同じ感覚を持ってセッションできるのは、本当に嬉しいことだなぁ、と心から思った瞬間だった。

来年2月には、アーツ前橋でのセッションが決まりそうで、来年の楽しみのひとつになっている!!!

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そして、久々の都内でのソロライブの時に、サントリーホールでもご一緒したEdoardo Delgadoさんが聴きに来てくれた。

この日のライブの衣装を作ってくれた、さとううさぶろうさんがデルガードさんに話をしてくれて、アンコールでの共演が実現したのだ!!!

彼との初めての出逢いは、昨年の京都でのイベントだった。俺の音を聴いた彼から、即興でセッションしてみないか!?と誘ってけれたのだ。

申し訳ないかな、この時は彼の事はそれほど知らなくて、どの位できる人なんだろうか???

と思ったのだったが、いざ音を合わせてみると、それは今までに体験したことのない程の繊細さと、絶妙なトーンの応酬となり、その音の背景にある静寂感というものを、あらためて大切にしなければならない!という思いに至った次第だったのだ。

世の中

一度自転車に乗れるようになってしまうと同様に、この静寂感を共有させてもらったことで、その後の自分の音をの世界が、激変していくこととなったのだった。

そんな静寂感が根底に流れるこの時のセッションは、今までの演奏家人生の中で、最高に楽しくて、スリリングであり、お互いの良い部分がより際立ったものとなったと思える。

音楽の神様からのギフトに他ならないあ、と心から感謝であります。

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デルガードさんとのセッションよりも濃いものがあるはずはないだろう・・・と思っていたのだったが・・・。

定期的にワークショップで通っている特別養護老人ホームえいめいで、内容は違えど、濃厚なセッションの時間を味わうことになった。

場所も内容も違えど、日々即興の現場は、新鮮な驚きが生まれるんだなあ、としみじみ感じ入った次第でありました。

車いすマスタードラマーは、このトーキングドラムを抱えたまま、うたた寝してしまったのでした・・・。

本当に写真も良い感じに写っているのに、ビックリで、何気に写真写りが良い場合は、本当に良いのです!

さすが!!!としか言えないマスタークラスとのラストセッションとなつまたのでした!!!

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2018年、どうもありがとうございました!!!

良いお年をお迎えください。