Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

「浜辺のサヌカイト」スタッフ目線の記録〜その五〜

撮影の翌日は、櫓の撤収作業だった。そして、関東から駆けつけてくれた、小林さんとすぎさんは、この日で帰路につくので、朝は、やっぱりこれ!!!

この光景を何度みたのか!?というほどのデジャブの様でもある、大喜多の天ぷらうどん!!!!

これだけ食べても飽きないのは、物凄いことだと思ってしまう。

撤収の日も、天候に恵まれ氣持ち良く作業をすることができた。

建てるのは、かなり苦労したが、ばらす時はかなり早かった!!!

小林さんとすぎさんが、黙々と柱を運んでくれる。

そして、何も無くなり元の砂浜に。

このリセット感は、本当に素晴らし過ぎる!!!

あっという間に、防波堤の外に。

これだけ出てると、絶対に捕まるということで先端を切って運搬することとなった次第。。。

驚いたことに、小林さんが乗る、観音寺からの電車が運休してしまっていたので、同じ方向のすぎさんの車で途中の駅まで行ってもらうこととなり、同じ時間を過ごした二人が、最後も一緒に帰るという、なんとも粋というか縁が繋がったというか、面白いもんだなあ、としみじみ思ってしまった出来事だった。

やはり関東から身銭を切って、この有明浜まで駆けつけてくれるというのは、まずあり得ないことだし、そんな人間が二人もいたことが、今回の奇跡にも繋がっている様にも思えてならない。

一番嬉しいのは、自分が大切にしている感覚に共感してくれて、行動を起こしてくれているということだ。そして、二人ともクラウドファンディングで応援までしてくれているという粋さ加減だ。

俺自身も、大きな金額ではないが「浜辺のサヌカイト」のクラウドファンディングはしているが、カードで払えてしまうので、今後どうなるのかは微妙な展開でもある。

このプロジェクトに関わらせてもらったおかげで、目に見えない世界がものすごく豊かになった反面、現実的な面では、俺がクラウドファンディングしてもらいたい状況でもあるのは事実だ。

「まあ、なんとかなるから、その瞬間その瞬間を大切に生きていれば大丈夫だぞ!!!」と天の声が聞こえた氣がしている今日この頃だ。

しかし軽トラという、日本が世界に誇る自動車の機動力は凄まじい!!!

あんな違法な長さの竹や柱を運ぶこともできるし、その乗りやすさというが凄い!!!

荷物を積んでなければ、かなり速いし、運転していて楽しいというのはかなり素敵だ!!!

色々な状況が許せば、マイカーは軽トラが最高なんじゃないかと思ってしまった。

そして、翌日の夕陽は、美しかったが予測できるものだった。

前日の、あの神秘の儀式に相応しい開眼する赤い目の様な光景は、土取さんをはじめとするプロジェクトのメンバーの願いや想いが、地球と大自然と多少なりとも呼応した結果だった様にも感じられてしまったなぁ。

本当のラストは、カメラマンの小笹くんのテントの前で、サヌカイトの櫓を作った時に出た木端を焚き火にしての残った関係者での直会となった。トイレから戻った時に一枚撮ったが、遠目ではかなり怪しい集団にも見えた。

その後、小笹くんと庵谷さんの二人の宴が続いたようで。。。。

後から聞いた話では、録音の庵谷さんは深夜に波の音を録りに行ったというし・・・

小笹くんは朝方サヌカイトの写真を撮っていたという話・・・

まさに、夜神楽の様にそれぞれの心の中に「浜辺のサヌカイト」の音が今も尚、鳴り続けているのかもしれない。

俺自身の身体の深い部分にも、その音が鳴り続けている感覚があるのは事実で、これは、何回か体験している特殊な祭禮や儀式特有の感覚と似ている。

「浜辺のサヌカイト」プロジェクトとは、現代に蘇った一夜限りの秘密の儀式だったのだと思えてならない。

そして、間違いなく今回のプロジェクトを陰で支えてくれたのは、この大喜多の天ぷらうどんに他ならないのだ!!!

これは、観音寺を発つ日の朝、天ぷらうどんに、ちくわ天も追加して締めくくった一枚!!!

大喜多スパイラル、これにてひとまず完結したり。

このスパイラルに戻って来れる日を夢見て、「浜辺のサヌカイト」スタッフ目線の記録を終えたいと思う。

 

最後に、今回のクラウドファンディングのリンクを紹介しておきたい。

中心のスタッフとして関わっても、未だ上手く説明できないが、この太古から流れ続ける大切な核心的な要素を体現できる数少ない存在である土取さんが演奏する、浜辺のサヌカイトの響きは、絶滅した恐竜が現代に蘇る様な奇跡的な事だと勝手に思っております。

見た事もない聴いた事もない響きを、応援していただけたらありがたい限です。

motion-gallery.net

夏越ノ大祓2022 ー 響鳴瀑 ー

今年の夏越ノ大祓は、未知の世界観へ突入する予感。

全てを削ぎ落として、その場に立つ武術の潔さは、踊りの持つ空氣とは違う次元の扉を開けてくれると思えてならない。

夏越ノ大祓2022  〜 響鳴瀑 〜

2022年6月25日(土) open 18:30  Start 19:00

桐生市有鄰館酒蔵 / 群馬県桐生市本町2-6-32

チケット 4,000円(中学生以下無料・乳幼児可)

予約・問合せ  ishizakagaishi@gmail.com

オンライン配信もあるので、是非!!!

https://nagoshi-no-oharae-2022.peatix.com

「浜辺のサヌイカイト」スタッフ目線の記録 〜その四〜

夕陽のサヌカイトの撮影が終わり、そこからは一旦関係者が現場を離れるので、小林さん、すぎさん、俺の関東からやって来た3人組でサヌカイトの櫓の見張りをする事にした。

40代、50代、60代の男が、海を見ながら弁当を食べるという、今後あり得ないであろう、不思議に面白くて豊かなひと時が流れていく夜の砂浜。

この時すでに、潮は満ち始めており、満月だからなのか、満ちる勢いに乗じてなのか、風もかなり出てきていた。

ちょうど、時間が空いたのと閃きで、まさにリアル感120パーセントの状態となる、サヌカイトの櫓の前で、Spiral Groove[FM桐生]の収録をすることにしたのだ。

それも、その場に居る小林さんとすぎさんと俺の三人の雑談を、とりあえず録ってディレクターの小保方くんに送って、なんとかしてもらおうという。

実は、Spiral Grooveでもクラウドファンディングに参加しており、映像作品のラストのクレジットに載せてもらえる予定なのだ!!!

人知れず応援するのも勿論素晴らしが、番組としては、この奇跡の映像作品に、少しでも協力したという形が残せるのはとても意味のあることなのだ。

この後、各地で上映など始まるかもしれないわけだし、うまく行けば世界中で上映される可能性もあるわけだ!!!

今のところ放送関係は、俺たちの番組だけのはずなので、このまま行けばセンスのある放送関係は俺たちのみとなるのでは!?という予感である。

そんなこんなで、収録を終えて、氣がつけばかなりの風が吹いて来ている。そして、雲もかかりかなりの湿度だ。

吊り下げられrたサヌカイトが揺れ動く姿は、生き物の様にも見え、一つのサヌカイトは、物凄い高速で回転を続けていた。

あまりにも凄かったことと、臨場感を共有しておきたいので、俺の撮った映像で恐縮だが紹介しておきたい。

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しばらくすると風は止み、波の音以外は静寂の砂浜が戻ってきた。手前にある壺は、「ウドゥ」という西アフリカの粘土でできた壺太鼓だ。現地では儀式の時に演奏されるもので、現地の言葉で「血管」を意味する。

今回、この楽器をなんで持って来たのかなぁ!?と思っていたが、後述の土取さんの文章を読んで妙に納得してしまった。

夜空が、刻々と変化していく中、少し動きがあった。

急遽、土取さんが、波の音の中でウドゥの演奏をするという事で、撮影クルーと音響さんが、そのセッテイングに走り回ることに。

雲間という言葉がある様に、その隙間から見え隠れする満月がやけに魅力的に映る。

随分と明るく撮れていてびっくりしたが、この時22時40分を回っている。

土取さんの文章によると、演奏は、木(桴)火(夕陽)土(土器鼓)金(石)水(海)のエレメントで成り立っている。

ウドゥの演奏が終わって、再度待機となったが、この時、エレメントの一つの水(海)が、かなり迫って来ていた。

満潮の勢いと雰囲氣は、ゾワっとするほどに物凄いエネルギーと共にやって来る感覚だった。

youtu.be

もう波は、櫓のすぐそこまで迫っている。

少し余裕をもって、波が来ない所に建てたはずだったのだが、あれよという間に柱に近付いてくるではないか・・・。

とにかく音響さんたちが大変だった。迷っていたが、海側と左右の側面の地中にマイクが埋めてあったのを避難させてから、その少し後には、波がやって来るという。。。

やって来る、やって来る。

淡々としているが、その勢いは止まらず、進んで来る波。

結局、櫓の中で土取さんが演奏するゾーンを全てクリアにしてから、波は引いて行った。

結果的には、サヌカイトの櫓を海がクリーニングして戻って行った感じだ。

一回一回の神事や儀式において、やはりその都度クリーニングするという行為が必要だと教えてくれた様に感じた出来事だった。このことは、肝に銘じておこうと思う。

その後、土取さんが浜辺に現れたと同じくして、月も顔を出した。

撮影前の少しの時間に、記録用に写したものだが、撮影本番では、この感じの月ではなかったので、これはこれで貴重なショットとなったとも言える。

こんな感じに、空間が歪んでいる様な錯覚さえも覚えるほどの秘儀的御神事となった「浜辺のサヌカイト」。

太古から流れ続ける、いのちの源流の記憶が蘇った瞬間でもあった。

月と交信している様にも見える土取さんの後ろ姿。

この感じ、月のゲートが開いた瞬間だったかもしれない。

撮影クルーのセッティング待ちの短い時間だったが、このなんとも言えない間の瞬間が、とても印象的だった。

このショットは、本当に撮影が始まるギリギリの瞬間の一枚だ。

同じ演奏家として、そして、設営のスタッフとして何故か撮っておきたかった。

今、この写真を見て思うのは、自分たちで創った櫓にサヌカイトが設置されて、そして、最後の仕上げとして演奏者の土取さんがその場に立ち、満月が迎えてくれているという奇跡の瞬間の一枚だということだ。

サヌカイトの音は、石が湿ったことで響きが鈍くなったものの、その音の密度感は凄まじかった。夕陽の演奏が、表向きの美しい音だとしたら、この月夜の演奏は、秘儀的な音と言えるかもしれないと勝手に思っている。

映像の長岡さんが最後にサヌカイトの櫓を撮っている姿が、祈りを捧げている様にも見えた。

撤収が始まる頃、月がまた現れ、最大限の演出効果を発動していた。

雲間の月。

満月のサヌカイトが始まる前、この場も波が完全にクリーニングしてくれたので、まっさらの状態になってしまった。

その事を伝えると、土取さんがこのサヌカイトを持って、軽やかに中心から螺旋を描いていき、最後に迷う事なく、その真ん中に「ズンッ」と突き立てて、新たな依代が完成したのだ。

おそらく、その行為を目撃していたのは、俺だけだったかもしれないので、ここに記しておきたい。

依代になりし螺旋のサヌカイトが、満月の祝福を受けている様にも見えた。

深夜2時を過ぎての関係者一同で記念写真。その後、充実感と心地良い疲れの中、宿で撃沈となったのでありました。

「浜辺のサヌカイト」スタッフ目線の記録 〜その参〜

「浜辺のサヌカイト」の本番の日の朝は、一夜庵という場所へ!!!

土取さんが、行っておいた方がいいぞ!ということで、みんなで行ってみたが、良い意味でかなりの雰囲氣。

俳諧の祖、山崎宗鑑が興昌寺の境内に結んだ庵で日本最古の俳跡といわれているそうで、どんな来客でも一夜しか泊めなかったという話だ。

庵の左側の柱が、とにかく物凄い風格だった。

小林さんが、「みんなで記念写真を撮りましょう!」と勢いで iphoneを地面に置いて4人でパチリと!!!

左から、小林さん、俺、土取さん、すぎさん。

実は、この日の朝は4人で、大喜多という讃岐うどんの店に行ったのだったが、なんと昼も3人でそこへ行くという大喜多スパイラルがこの時始まっていたのだった。

個人的には、大喜多はやっぱりこの天ぷらうどんが最高のバランスだと思えてならない。

天ぷらは、天ぷら専門から朝届けられるんだとか。

そして、生姜は自分ですり下ろすスタイルも面白い!!!

埼玉県から遠路はるばる、車で駆けつけてくれたすぎさん!!!

この時、すでに帰る日に持って帰るうどんの交渉をしていたという強者。

実は、前日の準備の時に、波の音を録音していたレコーダーが、満ち潮の中へ旅立つという事件が発生して、これは海へ奉納なのか!?と思っていたのだったが・・・。

しかし、朝一で撮影をしていた小笹くんが、サヌカイトの櫓の辺りに打ち上げられていたのを発見して回収して来てくれていたのだ。

もうお目にかかれないと思っていただけに、かなりビックリしてしまった。。。

一応、水に浸けて海水の塩分を抜いてみることにしたがどうなるか・・・。

どうなるにしろ、レコーダー的記念としてほかんはしておこうと思っている。

さて、本番の日は、前日にほとんどの準備が整っているので、多少の時間ができた。そこで、小林さんにとっては、この日の本番の翌日は、群馬へ帰る予定となっており、観音寺市へ来たので、その観音寺には是非行きたい!!!という事で、観音寺へ。

この時の、雲の感じを見て、本番の天候は問題ないだろうし、かなりの事が起きるのではないか!と思えたのだった。

潮が引いた浜は、波の造形が視覚化されたかの様相で、面白美しい光景が広がっている!!!

その日の夕暮れ時、どうなるかは神のみぞ知るではあるが、空には、これほどまでに見えるのか!?という龍神が出現して吉兆としか感じられない状況だった。

関係者の想いは勿論ひとつ、夕陽に映える「浜辺のサヌカイト」。

それぞれが、それぞれの仕事に集中していく。

いつ描いたのか、依代となるサヌカイトを中心に波紋が描かれている。

おそらく、これは現代稀に見る光景だろう。

本番は、撮影クルーのみが至近距離から撮影し、その他のスタッフはそれぞれの持ち場でサヌカイトの櫓を中心にして、左右100メートルほどの儀式ゾーンをキープする役割だ。

ありえないほど濃密で清々しい空氣が満ちていく、有明浜の空と海。

そして、神事の音を司どる土取さんを待つ櫓は、サヌカイトが設置され、完全なまでの祭禮の場となり、儀式的空間が櫓を中心に波紋の様に広がっていく様だった。

夕暮れのサヌカイトの写真は、個人的に撮ることは出来なかったが、その時の空の様子を記録したので、早回しにして紹介しておきたい。

youtu.be

予想もされなかった、紅い目玉の様な夕陽が最後の最後に、「見届けたぞー!!!」と言わんばかりに出現した時には、この場にいる事ができて本当に良かったと思える奇跡の瞬間だった。

本物の御神事とは、天候さえ味方につけてしまうという驚愕の事実を体験することになったのだ。

奇跡の夕暮れのサヌカイトの撮影が無事に終了して、関係者一同、ホッと一息。

その後、夜中に予定されている満月のサヌカイトの撮影まで、身体を休めることとなったのだ。

 

「浜辺のサヌカイト」スタッフ目線の記録 〜その弍〜

この有明浜は、休日になるとマテ貝を採る人たちが沢山訪れる。

櫓台を設置するのが、ちょうど日曜になってしまったので、マテ貝採りの人たちが貝を掘るのに夢中になる中その設置作業が行われたのだった。

砂の状況や櫓の形状などから、最初に杭を打ち込んで、柱を固定していくことになった。何度か下見で訪れていたので、群馬から掛矢[大きな木槌]を持ってきたのだ。持っているのは、大工か鳶職かというくらいだが、たまたま実家にあったので、持って来たこの掛矢が大活躍してくれたのだ!!!

後から聞けば、父が友人の刃物屋さんが「掛矢いるかい!?いらなければ廃棄しちゃうけど。。。」ということで、もらったものらしい。

回り巡って、群馬の桐生で廃棄されていたかもしれない掛矢が、香川の観音寺の浜で、それも現代の最重要神事とも言える、サヌカイトの櫓の基礎となる杭を打つのに使われるというのも面白いもんだなあと思える。

適材適所という具合に、誰言うともなく、黙々と作業が進んで行く様子は、とても氣持ち良い。そんな設営作業からして、今回のプロジェクトの流れが良いことが感じ取れる。

掛矢を振るっているのは、高知のボランティアスタッフさんで、日頃からこういった作業に慣れていると言うことで力技をかって出てくれた。しかし、翌日はかなり効いてしまって筋肉痛だったとか・・・。

角材を当てて、杭のダメージを最小限に抑えているのは、瀬戸内サーカスにも所属している大旗使いの麻風くん。この角材は、彼の車に積んであったものとのことで、彼の車には、大旗に使う竿から始まりいろんなモノが積んであり、かなりの場面に対応できそうで素敵だったなあ。

最終的には、ボロボロになって、カメラマンの小笹くんのテントでの焚き火用になるというのも、ある意味循環で良い感じだった。

麻風くんのサイト

飾りとして使われる予定だった細竹だったが、休憩の時に土取さんと麻風くんの遊び道具となっていた。

土取さんは、身体的にもかなりのマスターなので、こういったモノの扱いもお手の物という感じに、麻風くんにプチレクチャーしていた様にも見受けられ面白い光景だった。

そして、日が暮れていく。

浜辺に建ったサヌカイトの櫓が、神の依代に見え始めていく・・・。

この櫓を組んでいく時感じたのは、20代の頃行った銀鏡神楽の準備風景だった。

どうしても準備を観たかったので前日に現地へ行くと、祭りの準備真っ最中で神楽師たちが外神屋(そとこうや)という神楽の舞われる場所を作っていた。ちょうど「ヤマ」と呼ばれる3メートルから4メートルほどの高さで、葉の付いた樫の枝を上手いこと差し込んである生垣の様なもので、、外神屋の正面に立てるものを立てている所も見ることができ、そのヤマの中央に神の依代となる6メートルほどの柱「シメ」を立てる場面が、特に強く記憶に刻まれていたのだ。

今回、そんなシーンが自分の中に蘇ってくる感覚があり、何かを立てる行為というものが、かなり重要なんだということを体験する形になったのは、本当にありがたいことだと思えた。

誰でもいいわけではなく、志ある仲間と共に、サヌカイトの櫓を無心に立てて組んでいく行為自体が、まさに神楽の根底にある様にも思える。

撮影の照明チェックとなった、その日、赤い目の様な夕陽が夕闇の直前に煌めいていた。

この日に初めて、サヌカイトを櫓に設置していった。サヌカイトというと聞こえはいいが、石であり、かなりの重量となる。砂浜という不安定な場所に運ぶだけでもかなりの労力が使われるのだ。

そんな中でも一番苦労したのは、暗闇でテグスを巻きつける作業だった。

釣具屋で買った最強の30号のテグスは、やはりかなりの強度があり、20号と迷ったが、こちらにして正解だったと言える。

釣具屋さんでのやり取りが、なかなか面白かった。

俺 「石を吊りたいんですけど、太いテグスありますか!?」

店員さん「石ですか??? 釣れますかねぇ・・・・」

俺 「じゃあ、一番太いのはどれですか?」

店員さん「これですかねえ、30号の・・・」

吊りと釣りの違いが、俺と店員さんの間の微妙な空氣感を作り出していたことは、後になって納得だったが。。。。

この30号、なんと700メートル分あるので、今後、土取さんがサヌカイトのコンサートを何度をしても対応できるという素晴らしさ!!!

雰囲氣ある月が雲間から見え隠れする中、吊られたサヌカイトは、ある意味自由に揺れ動いて嬉しそうにも見えた。

翌日の本番を想定して、関係者で月を見上げる。

静寂の中でも、波の音が引いては寄せる、まさに「浜辺のサヌカイト」。

その夜、サヌカイトが設置されたことで、櫓台は、かなりの神々しい雰囲氣を放ち始めていた。

 

倍音共鳴Live 〜祈りと鼓動〜

5月22日は、神楽坂方面へ!!!

ちょっと欲張って22インチのシンバルケースに銅鑼とチャイナシンバルまで入れて、かなりの量の金属楽器をトランクに詰め込んで小さな神楽太鼓を持っての東京遠征は、移動が一番の仕事となった感じだ。

荷物を下ろして、ほっとしてグリーン車から見える景色は、駅のホームが異世界に見えた。

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沖縄での「わたしとちきゅうフェス」での音開きからのご縁が繋がり、神楽坂のヒカルランドでのセッションが実現したのだが、その会場というのが凄かった!!!

 

量子オーガニックスタジオ Hi-Ringo Yah!( ヒーリン小屋 )と名付けられたそのスペースは、音のソムリエ・藤田武志さんがプロデュースした最高の音浴スタジオというではないか!!!

音浴と銘打っている時点で、かなり興味が湧いてくる。

最初、俺の神楽太鼓ソロから始まり一氣に祭禮の空間へと変化していく、そして、KNOBさんにバトンタッチして、体内の記憶を思い出す様なディジュリドゥ倍音が鳴り響いた。この場所でのディジュリドゥの響きはとても良い響きで、細胞まで揺さぶられる感覚だった。

ヒカルランドの石井社長と、沖縄でご一緒した時、会場となるバーラウンジでピアノを弾き始めた。それが、とても良い感じだったのだ!

その後に「キース・ジャレットがピアノを弾けなくなってしまったので、僕が弾いてるんです!」と言われていたので、「それじゃあ、いずれセッションしましょう!」と言って別れたのが先月の話。そして、今月その約束が実現してしまったという物凄い早い展開にもびっくりだった。

休憩を挟んで、二人での即興セッションとなった。KNOBさんとの打ち合わせは、一切しなかったが、バチっとはまる感覚があり、お互いの良い部分が引き出されたセッションになった印象。音の密度もかなり濃くて、バチバチの即興セッションが展開されたのでありました。

ラストは、石井社長も加わってのトリオでの即興セッション!!!

石井社長の演奏する、純正率で調律されたピノアと呼んでいる名機から響く、彼の自由でゆるい感じが、KNOBさんと俺の音と合わさり、絶妙なバランスで音浴スタジオに響き、とても氣持ちの良い音像が創られていった。

コラージュ[Photo:Akiko Hotta]

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ここからは、俺の撮った記録用写真。

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しかし、驚いたのは、この空間を音響的にデザインした藤田さんが、なななんと、CDを開発したチームにいたという驚愕の事実だ。まさかに、CDを開発したお方に会えるとは、感動である!!!

そして、少しお話を聞くことができたのも嬉しかった。よく言われるCDはレコードと違って、上と下の周波数をカットしているという話は、実は、CDそのものには情報として上も下も周波数は入っているんだという。。。。

CDプレーヤー側でカットしているという事なんだという。そして、この場所にあるCDプレーヤーは、その上と下の音域をカットすることなく再生する事ができるというのだ!!!

その音の響きは、かなり奥行きが深くなる印象だった。

ここに全てを記すには情報が多いので、またの機会にしたいと思う。

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終演後に、笑顔のKNOBさん。
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打ち上げは、石井社長の計らいで、とても素敵なお店が用意されていた。

蝶ネクタイの様に置かれたマカロニは、お土産に持って帰ったら、今はもう娘の腹の中お通過して行った。。。
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最初の乾杯のお酒が素敵で、そのメッセージに今回のセッションの全てが集約されてい他のだった!!!
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ご来場いただいた皆さんをはじめ、石井社長、ヒカルランドの関係者の皆様、KNOBさん、Akiちゃん、録音の藤田さん、どうもありがとうございました!!!

この音源が、音のソムリエ藤田さんによって録音されているので、音源を聞くのがかなり楽しみで仕方ない今日この頃なのであります!!!

「浜辺のサヌカイト」スタッフ目線の記録 〜その壱〜

「浜辺のサヌカイト」〜いのちの海に捧げるサウンドレクイエム〜のプロジェクトが始まる前から、関わらせてもらっており、その撮影が無事に終えたことで、ひとまずちょっと一息と思っていたら、記録しておくのを忘れそうなので、急いで記しておきたいと思う。

 

土取利行という人のセンスとこだわりからすると、今回の事が一般に公開されるということ自体が大事件ということなのだったが、残念ながらクラウドファンディングの最高額30万円を払ってその場を共に分かち合うという貪欲な強者表現者は現れなかった。。。。

 

暗中模索しつつの稽古を闇雲に10年続けるよりも、10年かけて良い師を見つける方が得策だという話を聞いたことを思い出す。

個人的には、前者的傾向が強い人生ではあるが、土取さんとの出会いで、通常では見えないであろう音楽家としての景色や音像空間を体験させてもらっているので、なんとか即興演奏家として生きていられるのだとも思うのだ。

仮に、俺が土取さんの弟子でなくて即興演奏をしている人間であれば、30万払ってでもあの場にいるべきだったと断言できる!!!

そして、当日はまさに奇跡の神事を体験することになったのだった。

 

今回、このプロジェクトを実現するにあたって、表舞台に関わる人選は、かなり入念に行われ、初顔合わせになるメンバーだった。

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(以下敬称略)撮影:長岡マイル [ 映画作家 ]、録音:庵谷文博 [ サウンド空間デザイナー ]、写真:小笹純弥 [ 写真家 ]。

映像作品は、正直なところ、素晴らしいものにしかならない!!!!と断言できる。

「浜辺のサヌカイト 」クラウドファンディングページ

本番の夕暮れ前には、雲の中に正に龍神も出現していたので、かなり凄いことになるなあという予感だった。

そんな中で、表には出てこないメンバーが、かなり重要な存だった。良い作品の裏には確実に素晴らしいスタッフ陣が居るのである。

サヌカイトを設置する櫓の設置スタッフの要的役割をすることになり、これは信頼できる人間が必要だと思っていたところ、ちょうど連絡があったので、ダメもとで誘ってみたら、本当に来てくれた小林さん!!!

普段は、群馬から出ることが少ないというほどの人が、はるばる仕事を休んで香川県まで駆けつけてくれたのだ。普段から撤収なども手伝ってもらっているし、お兄さんの様な存在でもあるので、本当にありがたい。

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群馬県人にとって、海とは未知の存在過ぎて、かなりウキウキしてくる。

設置の合間に浜辺を散策。

天然の砂浜なので、裸足で歩くとかなり心地良い。

50代と60代のおじさんたちの浜辺の散歩は、なかなか楽しくもあり、お互い貝や石を拾うのにも夢中だった。

どんな雰囲氣になるか、櫓を仮に組むのが、この日の仕事だった。

そして、日は暮れていく。。。

浜辺のサヌカイトは、押しては引く波の音と、暮れる夕陽と、満月が、テーマとなっている。

およそのイメージはできたので、翌日の本組みに向けて、ひとまず櫓は解体され、何もない砂浜へと戻っていった。

素敵過ぎる浜辺の夕暮れ時。ぽこんと見えるのは、讃岐うどんの出汁に欠かすことのできない、いりこ漁が盛んな伊吹島だ。

砂浜の植生が素晴らしく、浜辺に降り立つと何やら香ってくると思っていたら、かわいい白い花のハマボウフウ

堤防から浜へ降りていくと、浜辺の植物の中を歩くことになる。その時、不思議なことに薄い霧の中にいるような錯覚に陥る。それは、匂いなのかなんなのかはちょっと聞きそびれてしまったが、浜辺に結界が張られている様な氣もしてしまった。

コマツヨイグサの小さい黄色が浜辺に点在しているのも、かなり良い感じだった。

この花たちも、サヌカイトの音を聴く事になるのである。