Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

月読の楽ダイジェスト映像

「月読の楽」。

今、三輪福さんと共演しておきたい!!!

という思いから、短期間に様々なものが凝縮した舞台となったと思う。

 

この場を会場と遠隔で共有してくれたみなさんをはじめ、三輪福さん、スタッフ陣に心より感謝いたします。

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10月18日に近藤等則さんの訃報を聞いてから、約2週間。。。

近藤さんから託されたゴングをフルセットで、初めて使った。

導入部分で、ゴングの音を奏で始めた時あたりから、激しい雨が降り始めた。この雨は、どうやら桐生を中心にピンポイントで降っていたらしいのだ・・・・。

きっと近藤さんが降らせた雨に違いない!?と思ったのは俺だけではなかったようだ。

そういえば、開場前にも吉兆を見ていた!!!

東日本大震災での修復の後、居なくなった、この蔵の守護神の様な存在のコウモリが蔵を舞い飛んでいたのだ。

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そんな、全ての準備が整いつつあるタイミングの中で始まっていったのだった。

紡がれる音と所作から動き舞に至まで、超絶凄まじい濃密なものとなっていき、この「月読の楽」から新しい即興芸能が芽吹いていくのをを感じる舞台となった。

芸能の持つ色濃い要素が、聴覚的にも視覚的にも、そして感覚的にも有鄰館酒蔵という空間を振動させていった。

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三輪福さんは、能登七尾市で作られている天女の羽衣の様に感覚を麻痺させるような動きをする布を変幻自在に操って、観客から空間までをも魅了していく。

俺が先に出ることだけのみ決めて、後は完全即興の舞台。三輪福さんの即興感覚は、本当に共有できる感覚がとても多いく、お互いの相乗効果で、芸能の本流への旅を一緒に味わった感覚もあったほどだった。即興セッションの時の大切なところは、信頼だと思っている。相手を信頼しつつ、自分自身を信頼して、迷ったり疑ったりしないのだ。その上で、支えてくれるスタッフを信頼して、最高の状態で舞台に立つということだ。

この信頼関係が完全に構築された時に、即興芸能空間が蠢き始めていく。

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近藤さんとのライブの時に、スタッフ陣も多くの刺激をもらい、彼の存在感と音楽的感覚をもの凄く尊敬しており、今回の舞台で、彼らなりの追悼の気持ちを届けたいという思いから、花びらの替わりに白い羽根を沢山用意して、それを三輪福さんに、宙に舞い上げてもらった。

尊敬する人への想いを演者に託すというのも、粋な計らいでもあり、いつも支えてくれているスタッフ陣の気持ちが、本当に嬉しいと思えた。

表は裏があって成立するわけで、裏方が全てといっても良いと思っている。

後日、近藤さんが、「本当に気持ちいい人しか居なかったよ!」と言ってくれたスタッフ陣に支えられて、「月読の楽」は幕を閉じて行った。

後日、その請求はしっかり俺に来たのでありました!(笑)

神楽太鼓の演奏になった時には、月が顔を見せてくれ、まさに表題通りになったのも、天の(近藤さんの)采配だった様にも感じてしまった。

雨は、開演直前に降り始め、ピークに達して終演の時には夜空に月が・・・。

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しかし、リハから思ったが、神楽太鼓を叩いている時にもエレクトリックな音のニュアンスが響いていて・・・、これって!?近藤さんかな?というのがずっと続いた舞台だったところに、本番の雨は、凄かったなあ・・・。

今回の映像は、なかなかに貴重なものなので、形にして発表したいと思っております。その前に、石原ミチさんと西原直紀くんの写真で、当日の雰囲気を少しだけ味わっていただけたらと思います。

二人の視点が融合して、音源もゴングと神楽太鼓を融合させて編集してあります。6分程のものですが、自分が感じた感覚を少し感じていただけるものだと思います。
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心から近藤等則さんのご冥福をお祈りいたします。