2020年7月25日。あの日のことは、生涯忘れることがないだろう。
近藤等則さんが新桐生駅に降り立った時、葛飾北斎の「雪中虎図」の老虎が出てきたのかと思うほど強烈な存在感を放っていた。
この老虎が、ひょうひょうと天へと駆け上がっていく感じが大好きだったので、とてもびっくりさせられたのを思い出してしまう。
この絵は、北斎の絶筆らしく、この老虎を自分に見立てて描いているとも言われる。
今思えば、この日の近藤さんに、北斎の老虎を見たのは、偶然ではなかったのかもしれない・・・・
そして、日本において、師匠の土取さん意外で、唯一背筋がシャキーンッとしてしまう存在だったと言えるだろう。
そんな近藤さんとのセッションの音源が、いよいよお披露目できることになった。
デザインは、いつもフライヤーなどを手掛けてくれている西原直紀くん。石原ミチさんが当日のライブを撮影した写真を使って、うまく構成してくれている。
このオレンジの蠢くものも、当日撮られた音の残像の様なものだ。
ーーー 以下ライナーノーツより ーーー
即興演奏というものは、とにかく自由であることであり、近藤さんは、その中でも気持ち良い音やその感覚を大切にしていた。
2020年の春頃から、日本でもコロナ騒動が勃発し、人々の生活が一変した。それは、この地球上からライブミュージックが無くなった瞬間でもあった。
即興演奏家は自由な感覚の中に生きている。
そんな二人が、この不自由な世の中に対して、出したひとつの回答がこのアルバムに凝縮されていると思うのだ。
このコロナ騒動がなんだったのかの判断は、未来の人たちに任せることにしたい。
近藤等則さんは、5月からBeyond Coronaというミュージックマガジンを発刊し始め、それも限定100枚のCD-R盤だった。そして、「Beyond Corona I 」 を聴いた時の衝撃は今でも鮮明に魂に刻まれている。彼から、同じ音楽家や表現者へ「お前ら、何してんだ!!!」という問いかけの様にも受け取れた。
BEYOND CORONA 1 | Toshinori Kondo
「Beyond Corona 2」が届いた6月初旬。地元桐生でホームとして使っている有鄰館では、7月は誰もイベントをやらないという事を知り、沸々と何かが湧き出して来るのを感じ、直ぐに近藤さんに桐生でのセッションのオファーをしてしまっていた。まわりの仲間を振り回す形になってしまったが、無理してもやっておいて良かった奇跡のライブとなった。
ライブの後、近藤さんから「俺のゴングを使ってみないか!?」
と譲り受けたインドネシアのゴング。
その後、急展開にことが運んで行ったが、彼は旅立ってしまった。
---- 以下近藤さんからのメール -----
「イヤー、ゴングの写真いいねえ。この写真見てたらコロナのことなど吹き飛ぶねえ。
ベトナムの山岳地帯で古代銅が取れ、そこからゴングが作られ始めたと言われてるんだけど。
今のイメージでは3日間桐生に伺ってレコーディングしてみたいと
思っています。神楽太皷とインドネシアゴングが創り出す音宇宙の中で
エレキ・ラッパを吹きたいです。上手くいけば、誰もやった事がない
音になると想像しています。桐生の渓流の音も入れたいと思ったり。
8月末から9月初めのスケジュールはどうでしょうか?
よろしく!!!」
近藤
約束の音を、Beyond Corona Promise に込めて・・・
石坂亥士
このアルバム「Beyond Corona / Toshinori Kondo × Gaishi Ishizaka」は、2021年7月10日のソロライブの日より販売予定となっております。
2021年7月17日、アルバム販売ページ!
『BeyondCorona/石坂亥士 近藤等則』(dragontone 001) | Cat Holic Record屋 https://thebase.page.link/A2jC @BASEec