Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

賀茂神社・春季例大祭2019

広沢賀茂神社・春季例大祭情報

2019年

4月14日 宵祭り 二座の上演予定

17時半過ぎをめどに、「白黒翁三番叟」、その後、19時過ぎをめどに「大蛇退治の舞」

4月15日 本祭り 五座なら上演予定

10時半をめどに、「白黒翁三番叟」「道開け(猿田彦)の舞」この後昼食休憩

13時過ぎをめどに、「天の岩戸開きの舞」「狐釣り」「稲荷山種蒔きの舞」それぞれ何時から始まるかは、その日の神楽師の状態次第となっているので、ゆるりとした気持ちでお付き合いいただけたら幸いかと。

 

 

14日の宵祭りで、上演が予定されている「大蛇退治の舞」で、新人の清水君がスサノオの命役を初挑戦となり、楽しみな舞台なので、神楽師の独り言というブログの記事の抜粋を紹介しておきたい。

 

少し長くなるので、興味ある方向けかと!!!

 

ーーー以外抜粋記事ーーー

 

面というものは、舞手が着けて、初めて命が吹き込まれる感じもありますが、
面単体でも、結構な存在感があるものです。

まずは、スサノオの眼力を!!!

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目の奥に吸い込まれる様な力強さとブラックホールの様な想像もできない奥深さを感じてしまいます。
さすがに荒ぶる神スサノオです!!!
そして、一説によると、このスサノオは表面的にみる荒々しく力強いだけではなく、とても優しい神様であるという話もあります。高天原を追放されたとされていますが、実は、高天原の負の要素を一手に引き受けて持って行ってくれたという事です。

まあ、本当のところは分かりませんが、非常に強い神様である事にかわりはありません。


そして、おろちの眼力はこちら!!!f:id:dragontone:20190404194409p:image

これまた、不思議な雰囲気を醸し出しております。面というものは、非常に不思議なもので、宮崎県の西都市でおこなわれている「銀鏡神楽」では、たしか5つの重要な面があり、その面は通常それぞれ離れた社に鎮座し、祭りの時には、その面をそれぞれの責任者が背中に背負って山を降りて神社へと行列して歩いていきます。

これを「面さま迎え」といって、若い頃実際にこのシーンに立ち会った事があります。面様迎えをする前に、その面を管理する方の家で、ちょっとして宴が催され、幸運な事にそこに同席させていただいて、一緒に山の上にある面様を迎えに行って、そして、神社までの道のりを5人ほどで行列したのを、今でも思い出します。

面というものは、それ自体にl神が宿るとも言われますし、その面を多くの神楽師が着けるわけですから、神楽師の汗だけではない、見えない何かが一緒に面の記憶とでもいう感じで残っている感じがいたします。

まあ、その辺のマニアックな詳しい話は、いずれする事にして、スサノオとおろちの面の比較をしてみましょう!

 

スサノオの面

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ヒゲが相当抜けていますが、いざ面と衣装を着けて神楽殿に出れば、
力強い迫力のスサノオに見えて参ります!!!!

 

オロチの面!

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これだけ見ると、緑の犬様にも見え、かわいらしい雰囲気さえ感じられますが、
一度おろち役の者が着けて神楽殿に登場すれば、この動く下顎をカクカク動かして、
なんなんだ!この生き物は???!!!!という不思議な迫力のもと、おろちの舞が展開していきます。

このおろちの面は、口の脇には皮が釘で打ち付けてあり、片方の角はなんと布でできている
という不思議な造りなのです。使い込まれてきた迫力という言葉がよく似合う面であります。

 

ーーー以上抜粋終わりーーー

 

大蛇(オロチ)退治の舞と言っても、退治される方のオロチが主役の舞なので、ついついオロチやスサノオの命が目立つわけだが、名脇役の櫛稲田姫と足名稚命がいなければ、物語は立ち行かない。

 

足名稚命役は、会長の荻野さんが担当しているのだが、今回はご親戚にご不幸があり舞台に立てないとのことで、なんと今回の宵祭りでは、そんな名脇役の足名稚命をやることになってしまった次第。。。。

舞的にはそれほど特殊なものは無いのだが、長い台詞があり、その台詞回しもなかなかに難しい・・・。

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朝、目が覚めると!!!

「これこれ櫛稲田姫、汝、ヤマタノオロチ人身御供なりぃぃぃ。天下りスサノオノカミ大神により・・・」という風に台詞が頭の中を巡っている今日この頃なのだ。

 

そして、本祭り当日は、舞台清めの舞である「白黒翁三番叟」の白翁の舞をすることに。

これも普段は、会長が担当していて、良い舞だなぁ、と見ている方なのだ。

ものすごく渋い舞なのだが、なかなかに呪術的な舞で、個人的にとても好きな舞なので、嬉しくもある。

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幽玄な白翁の舞に対して、黒翁の舞は、躍動感に溢れ、陰陽の原理を神楽の舞に落とし込んでいるような氣がする。

この「白黒翁三番叟」が終わった後には、必ず「サンバのお神酒」と言って、奉納されたお酒を神楽師みんなで、一口ずつ飲む、飲めない人もひと舐めはするという、サンバのお神酒なのだ!!!

これが、美味いお酒でなくても、何故かものすごく美味しくなるのが、本当に不思議でならない。

目に見えないことの方が多いとは言うが、神楽という、神さまを楽しませるという仕掛けの世界は、普通に見えない世界とコンタクトしているわけなのだろう。

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春季例大祭賀茂神社の境内は、本当に気持ち良い空間なので、タイミング合う方は、是非おいでください。