Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

神楽の宇宙観を体感する!!!

氣かつけば、どうやら俺は神楽師となって30年目に突入しているようだ。地元にこれだけ素晴らしい神楽が残っていて、そこに参加できることができたのは、本当にありがたい限りだと思う。

当時は、かなり狭き門だった神楽だったが、神楽師の会長さんが、俺のじいちゃんの教え子だったこともあり、かなり好意的に迎え入れてもらえたのを思い出す。

じいちゃんからの連なりもあり、地元での芸能に関わることになったのも、面白いもんだなあと思う。

前の会長さんがメインで舞っていた「白翁の舞」を引き継いで数年経つのだが、今回初めてこの面がしっくりきた感覚を覚えたのだ!!!

という事で自撮りをしてみた次第。

今回は、宵祭りでの白翁の舞がピークだった感じがしている。

舞も身体と一体化した感覚もあり、鈴と刀を持って「天・地・人 (上・中・下)」という動作を繰り返す、尋常でない反復を継続する鈴舞では、新たな境地に突入した。

鈴と刀の重さを、最大限に感じるというのがポイントらしく、下の部分に収まる時に、その重さを利用して自分の重心も一番下まで一氣に落とす事を体感したのだ。

きっと鈴舞というのは、神楽殿にこの蜘蛛の巣のように、鈴の音と舞の足運びで結界を張り巡らしていく行為なのではないかと思えてならない。

また、神楽殿というものは、異次元に誘う装置でもあり、神楽師を育ててくれる装置でもある様だ。

そして、宵祭りでは漆黒の闇に神楽殿が浮かび上がり、そこで繰り広げられる神楽は、また別格の趣があるのも魅力だ!!!

翌日の本祭りでは、甥っ子の草吉が急遽体調不良となり、メンバーが揃わずに、「岩戸開きの舞」は上演できなくなったが、せっかくなので、「子守りの舞」という独り舞をやって見ることにしたのだ。

「子守りの舞」は、現在は舞うメンバーが亡くなってしまったので、中断している舞でもある。やったことは無いが、師匠や先輩の舞を見ているので、「ひとまずやてみよう!!!」と、俺が初挑戦してみることとなった。

入れなくてはならない仕草を入れ忘れていたりはあったが、なんとか無事に終えることができた。今後、この役を仕上げて、春祭りでやる事になりそうなので、自分の新たな試みとして、とても意味あるものとなりそうである。

岩戸開きの手力男命から、一氣に庶民的な子守りのおてんば女性へというのも、自分としても面白い変化で楽しかった。

稲荷山種蒔きの舞では、面白おかしく、二人の「エサコ」が舞台を繰り広げ、最後にはお餅を皆さんに撒く!!!

お餅欲しさに、この時だけはかなり人が集まってくるのだが、お餅をもらうと一氣に帰っていく。

今年も、秋の例大祭を無事に行えたことに感謝である。

そして、何事もなかったかのように、神楽殿はひっそりとただそこにある。