雨がやってくるというので、その前に桐生川の源流域に音を録りに出かける。
群馬県は、緊急事態宣言なるものが先日解除された影響もあり、桐生川の上流には多くのバーベキューする人達が居て、ちょっと驚かされた・・・・。
自粛を求められていたので、ダムが決壊するかの勢いで、自然の中へと足が向いてしまうのは、これもまた自然なことなのかもしれない。
そんな人混みは、中流域までで、根本山の登山口となる最上流域周辺にはほとんど人は居なかった。
一人のその方へ向けての音を届ける試みとして、「閃きのアルバム製作」という地味なプロジェクトを開始してみたのだが、それなりに申し込みの方から連絡がきているので、ありがたい限りであります。
今回のプロジェクトの初回となる録音をしてみて感じたことがる。
それは、「この音は確実に効果があるはず!!!」というのを勝手に実感してしまった瞬間があった。それぞれの方からの希望を聞いて音のイメージを作っていく作業なのだが、先日の桐生川での録音では、自分の出す音の質というものが変化していることに気がついた次第。
分かりやすく言えば、お店の料理は、万人に対して美味しく作って提供してくれる。勿論、好きなお店やおすすめの店で食べるのは、楽しくもあり、とても美味しいことに間違いない。
一方で、お母さんやお父さん、もしくは家族が作ってくれる料理は、その人のことを思って作ってくれるわけだ。目には見えないし、各人の器量は違えど、食材選びから始まり使用する調味料をはじめ、食べてもらう人への身体への配慮もろもろ、その思いというものが食材やその料理に影響を及ぼしていくはずだ。
この「閃きのアルバム」は、そんな家庭料理的なアルバムなんだと思うに至った次第。
いつものフィールドレコーディングは、その場所、その瞬間、自分の状態のバランス等の条件でわりと気軽に録音している。
しかし、「閃きのアルバム」ではだいぶ違っていて、いつもの感覚にプラスして、音のイメージやその人の事を思いつつ音を奏でるということになるのだ。
これは、気軽に発信してしまったはいいが、自分が思っていたよりも、濃密で深い作業であることが判明してしまったのだ・・・・。
まあ、それほど多くの申し込みが来るとも思えないので、今のところ、継続していこうかと思っております。
閃きのアルバム・イメージ音源 - Dragontone /石坂亥士
翌日は、赤城山の上、小沼に大銅鑼を持ち込んでの録音。
ひとりで行って、秘密裏に録っているので、なかなか運ぶのが重労働だった。閃いてしまったので、仕方が無いわけだ。
赤城山へ向かう道中は曇り空で、西から雨がやってくるという予報だったので、いつ雨が落ちて来ても不思議ではない状況だった。
ラッキーな事に、赤城山をグングン上る時には、晴れ間も見えて、」あれっ???」という感じもあった。
まあ、しかし小沼に着いたら、霧が立ち込めている。。。
これはこれで、幻想的な雰囲気なので、大銅鑼とスタンドと機材を持って、小沼へ降りて行く。
何も考えないと、良い場所を見えるようで、演奏する場所はピンポイントで見つかった。
湖面から3メートルほどの所に大銅鑼を設置。
大銅鑼の音は、霧と呼応しつつ、晴れ間さえ見せつつ小沼の神さまや精霊が楽しんでいる様で、小鳥たちのさえずりが霧の中湖面にこだまして素晴らしかった。
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この赤城山の頂上部は、上州の天!!!と呼ばれるだけあり、表の大沼に対して裏の小沼の雰囲気は、まるで異界の様でもあった。
この雰囲気を新たに、ライブの時の音へと転化させていきたいもんだなあと思いつつ、小沼を後にしたのでありました。