Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

師走の初日は、民族打楽器ワークショップ!!!

スーツケースを開けると、何やら楽しそうな鳴り物たちが、所狭しと顔をのぞかせる。

色々と試してみたが、このLoweproのスーツケースに落ち着いている。カメラやその機材を入れる事を考えて作られているので、こういったそれなりに重量がある楽器を入れるにも適しているのだと思うのだ。

12月1日の朝は、都内某所の小学校の体育館にてお店開きとなった次第なのである。

俺たちの小学生時代は、この時期の体育館の寒さは底冷えしていた記憶があったが、ここは、なんと暖房が完備されているのでとにかく暖かくてありがたい。

違和感ありつつも、楽器たちが時間と共に場所に馴染んでいく様子も面白い。

太鼓自体は、立っている木をくり抜いて作られているので、立てて置くとそこから木が生えている感覚になっていくる。

体育館の中心に民族打楽器の小さな森が出来上がった感じで、いつになくやる氣満々な空氣を漂わせていたのも印象的だった。

今回のセッティングは、小物の鳴り物類をまとめて置いてみたのが、自分では良かったと思っている。そうしたことで、鳴り物の集落的なゾーンが、とても可愛らしく見えてきたのだ。

金色の亀の背中にシンバルが付いているのは、バリ島の「チェンチェン」だ。ガムランという青銅楽器のオーケストラの中心でリズムをキープする役わりを担当している。あの巨大なゴングやガムランの鳴り響く中で音が分からなくてはいけないので、かなり大きな音を出すことができるのもその特徴だ。

その隣にいる木の蛙は、ベトナム等で作られているカエルの形をしたギロだ。背中のギザギザを木の棒で擦ると、まさに蛙の鳴き声の様な音が響き、ベトナムでは「モーコック」と呼ばれている。

カラフルな植物で編み込んである、円筒形や円錐形のものは「カシシ」。その他もろもえろ鈴なども多数持ってきているので、わいわいガヤガヤ楽しそうな雰囲氣に見えて嬉しい。

こちらは、母から旅行のお土産でもらったもので、モロッコカスタネット「ケルカバ」だ。隣の鈴は、鬼面の形が氣に入って3個買ったのをセットにしてある。

約90分のワークショップは、白熱するシーンや、ゆったりした時間が流れるひと時もあり、20人ちょっとの1年生から6年生までの生徒たちが、それぞれ民族楽器に触れて、叩いて聴いて、踊って、笑って、寝転んで、走り回って、とても素敵な時間となりました。

サポートの先生方の対応も笑顔で楽しく一緒に参加していただき、とにかく良い雰囲氣の中みんなで楽しい時間を過ごすことができ、ありがたい限りだった。

素敵だったのは、終わった後にみんなんで楽器を中心に集めてくれたことだ。こんな感じになったことがなかったので、嬉しくて、写真を撮って記録に残しておこうと思ったのだ。

通常は、やり終えた後は、ガサガサ中心に集めてくれるか、保育園や幼稚園は、そのままということが多く、それはそれで、終わった後の作為のない素敵な状態も素晴らしいのだが。。。

今回は、自分たちで楽器をこんな感じに集めて整えてくれたことが、嬉しかった。

終わった後の楽器たちが、とにかく嬉しそうに見えた!!!

先生方のリクエストもあったので、ここで楽器の名前を多少紹介しておきたい。

真ん中にあるのは、アルパカの蹄でできた擬音楽器の「チャフチャス」。アルパカの蹄は脱皮するらしいでの、南米ではそれを楽器にしているのだ。

丸っこいのは、小型のマラカスで、多分牛皮でできている。実は、マラカスの様に、中に木の実や豆類、または小石等の何かを入れて鳴らす楽器の起源は、太鼓よりも古いと言われている。以前、驚いたのは、コーヒーの豆が入ったいたこともあった。閉ざされた空間にある何かを振り動かすことで生じる音というのは、古くは儀式で使われていたもの。多くの楽器の起源は儀式からくるとは思うが、マラカスやガラガラといった、振ることによって音が出るものの音は、かなり神秘的で根源的だと思えてならない。

亀の甲羅は、メキシコでいただいたもので、古くから伝統的に亀の甲羅の腹の方を鹿の角で叩く。今回のように踊りながら亀の甲羅を叩くのは、きっと俺くらいだろう。

隣にあるベルもメキシコのもので、これは小さいので机の上などに置いて、呼び鈴として使っているものだと思う。もう少し大きなものは扉の開閉時に鳴る様に、玄関に付けられる。

このジャラジャラした不思議なものは、「コキリコ」と言って、有名なのは富山県の民俗芸能で使われるものだ。他の地域でも使うところもある。

長い板から短い板が貼り付けられているのは、その中にバチを入れて回しながら叩くらしい。木琴の変形位版の改良楽器。

黒い重厚な音のする鈴は、「鐸鈴」と言って、古い形の鈴だ。

木の実がたくさん付いているものも、「チャフチャス」というらしい。

太鼓系は、西アフリカのマリの「ジンベ(ジェンベ)」。大小の鼓面を持つ太鼓はバタドラム。これは、大中小(父母子)の3個セットの家族の太鼓だ。この太鼓は、心臓の音色やリズムを叩いて、調子の悪い人を治療するのに使われていたもの。

真ん中の白っぽい厚い皮が張ってある太鼓はインディアンドラム。ネイティブアメリカンの儀式で使われるもの。

毛が生えていて、かわいいのは、ケニアのンゴマの太鼓。皮を締めているのも同じ皮を撚って作ったもので、この太鼓の中には何か入れられていて、振るとカラカラと音がする。

 

と、まあ、こんなところだろうか。

今回は、ワークショプのおさらいのために、楽器の紹介をしておきました。

 

このワークショップは、芸術家と子どもたちのコーディネートでの開催だったので、安心して行うことができ、心より感謝です。

今回、出会った子どもたち、本当にみんな素敵で、それぞれ面白いものを持っていて、自分の刺激となりました。

みんな、口々に「楽しかった!!!」と言ってくれたことが、全てなのだと思う師走の初日でありました。

と、ここで終わったかと思えば、続きがあり、帰りの高速で、人が高速道路に入ったという表示があって、少ししたら前方の車の速度が落ち始めた。

そしたら、なんと犬を連れたお爺さんが悠然と逆走していて、驚かされた。

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その空気感は、家の近所で犬の散歩をさせているのと同じ感じのリラックスムードだった。

色んな意味で、衝撃を受けつつの帰路となったのだった。