「新月神楽」を終えて見上げた昨日の空は、印象的だった。
8月16日は、都内本所のBIG SHIPにて、「新月神楽 -巨木の時空-」 を無事に終えることができた。15日までは、お盆独特の濃密な空氣に満ちていたが、打って変わって16日は、なんとなく空氣や風の感じが変わったのを感じた。
そんな空氣の中、本所へ向かう車中も氣持ち良い風が入ってくる、幸先良い始まりだった。
会場には13時入りだったが、15時にはあらかたセッティングも終わって、3時のおやつも食べつつ歓談するという、余裕すらあったのだった。が、それはハプニング待ち受ける本番前の束の間の静けだだったのかもしれない。
[ 写真:須藤 亜弥子 ]
今回の新月神楽は、直紀の写真にプラスして、古木人形のSHINが参加してくれたことで、ソロの時とは全く違う感覚となった。
巨木の存在と、古木でできた操り人形との距離感やバランスを楽しむことができるわけだ。
そして、三つ巴となったことで、さまざまなバランスが整った感じもした。
揺れる揺れるベルたち。個人的に好きなショットだ!!!
背後に氣配を感じていたが、あやちゃんがこんな写真を撮っていた。
カナダの、このトーテムポールは、最上部に亡くなった方を安置して鳥葬にするものなんだとか・・・。
チベット以外でも鳥葬があったのを知って、なんとも言えぬ厳粛な氣持ちになった。
人も自然の循環の一部にある生活というものが、ある意味一番豊かなものなんではないかなぁ、とも思えた瞬間だった。
いろんなスタイルでの共演をしてきたが、今回は、今までにない可能性を感じていいる。それぞれ身を置く領域や得意分野は違いつつも、価値観や感覚が近いトリオなのだ。生温い関係ではなく、かなりシビアなのもありがたい!!!
SHINという男は、センスの塊の様な人間で、あらゆる場面に対応してくる。超絶なテクニックではなく素朴な古木人形との二人三脚感が、絶妙に素敵な効果を生み出しているのだ。
その古木人形の誕生は、俺の神楽太鼓と同じく、今年で30歳というのも相性の良さに影響しているのかもしれない。
若かりし頃は、瑞牆山の山頂まで、それぞれ神楽太鼓と古木人形を担ぎ上げて、山頂にある岩の舞台で奉納してきたこともある。
あれは、今までで一番きつい山登りだったかもしれないが、かなり貴重な経験でもあったと今にしては思う。
今回は、そんな長年の付き合いだからこそできる世界観もあるんだなあというのを、強く感じることになった。
直紀の切り取る巨木の世界の中に、SHINの人形が散歩している様にも見えるほどのシーン!!!
絶妙なタイミングをあやちゃんが記録してくれて、改めて見返すことができるのもありがたい。
関わるメンバーのセンスや感覚が融合して、作品の記録としてもどんどん立体的になっていくのも嬉しいことだ。
今回、あろうことか、巨木の写真の投影が中断してしまった・・・・。
しかし、それはそれで良い感じもあり、巨木が鎮座するスペースは、青い灯りに満ちた海の様にも見えた。
おそらく直紀や裏方スタッフさんは、相当肝を冷やしたろうなあと推測するが。。。
こんな時、普通はかなり動揺してしまうだろうが、俺の場合は、基本的にソロでやっているので、なんとでもなるし、即興演奏者としては、ハプニングが大好きでもあるので、ハプニングをハプニングと捉えない傾向があり、起こることは全て受け入れるスタイルなのだ。
そして、なんと言っても盟友SHINもいるという手厚い状況なので、どうなろうと何の心配もないわけなのである!!!
流れとしては、タイミングは決めてなかったが、途中で神楽太鼓を取りに行くことになっていたので、古木人形「日和田くん」の亀の甲羅の演奏に任せて一旦バックステージへ。
何にしても、人に任せることができると、物事は面白い方に流れて行くのを感じる。
勿論、誰にでもということではなく、自分が信頼できる人に限定されるわけではある。
なので、そんな信頼できるメンバーと共に創り上げる舞台は、最終的な責任は自分にあるので、何が起ころうと良いのである。
本来の予定では、俺が神楽太鼓をスクリーンに向けて演奏するはずだったが、もう巨木は現れないだろうと思って、正面を向いて始めてしまったのだったが、どうやら途中から巨木も戻ってきたらしいのだ。
今回は、巨木を見ながらと思っていたが、写真で見るとこれはこれで良かった氣もする。
結果オーライということと、15日で一区切りと思っていたお盆だったが、楽しそうだから参加してくれた方々もいたのかもしれないなあ・・・と。
「新月神楽」と題しての公演は、新月と日時と場所のバランスが合うのがなかなか難しく、公の公演として開催できるのは数年に一度。自分としては、「神楽」という言葉を冠しての公演となるので、とても重要な位置付けでもある。そして、通常のライブとは別次元の空間が現れることが多いのだ。
前回の新月神楽は、2021年に開催されており、開演前にかなり天空の動きがあったのを思い出した。まさに龍神の存在を感じざるを得ない状況だったなぁ・・・・と。
今回は、8月に入っての関西方面での龍を辿る旅が多大に影響を及ぼしているのは間違いないだろうが、お盆の期間が閉じていく濃厚なタイミングとも重なり、ハプニング含め思い出深い「新月神楽」となった。
終演後の空は、やはり意味深に雲が低かった・・・・。
30年来の交流を続ける大切な親戚的存在の方から、こんな感想が届いた。
「余分なプラスやマイナスがボロボロと落ちていって、すごーくフラットな感じになって、なんとも言えない心地よさです。」
祭りや神楽の本来の役割は、日常生活で着いた余分なモノを取り去って、フラットな状態に立ち戻ることだと思うので、本当に嬉しい感想だ。
この貴重なタイミングで、「新月神楽 -巨木の時空-」に参加していただいた皆さんをはじめ、スタッフ関係者のみんなに心から感謝いたします。
どうもありがとうございました!!!
この度の「新月神楽-巨木の時空-」は、これでは終わらない予感です。
再びお目にかかれることを願いつつ。