Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

衣装干し日和 -2024春-

なななんと!今回の2024年、春季例大祭の衣装干しから、神楽師的にかなり大きな変化が起こってしまったのだ!!!!

まだまだ中堅と思っていたら、神楽師のトップでもある、会長になることになってしまったのだ。

歴代の会長からすると、年齢的にかなり若いので少々違和感もあるが、今までの会長だった岡部さんから引き継ぐ形となり、できる範囲でやれることをやって行こうという感じだ。

実は、前会長の岡部さんはだいぶ年上なのだが、神楽師としては後輩になる存在だったのだ。

ここの神楽は、神楽師になった順番での一応の順番があり、先日笛の師匠が亡くなってしまったので、現在の神楽師の中で2番目の古株になってしまったという現実もあリ、ちょうど良い引き継ぎだった様にも思える。

会長になっての初仕事は、衣装干しの日に、最年長の神楽師を車で迎えに行くことだった。まあ、そんな雑務をこなすのが会長でもあり、地域の繋がりを大切に育てていくのも神楽師の役割の一つでもあるのかもしれない。

おかげさまで、衣装を干すのに最適な氣候と、氣持ち良い風がそよそよと神楽殿に吹き込んでくる衣装干し日和となり、春のお祭りで使った衣装たちも良い感じに干すことができたのだった。

この日は、衣装だけではなく、お面も一緒に風にあてる。今は使われていないお面も一緒に並べると、かなりの数があり圧巻でもある!!!

数えてみると31面あり、それぞれが風格があるので、お面だけでかなり濃密な世界となり、独特な世界観がそこに見え隠れしているのが面白い。

天照大神を中心に、白翁・黒翁、上段中央は手力男命、中段の左右には大蛇と櫛稲田姫命、下段は左から鉾回し、天細女命、猿田彦命

鉾廻しは、猿田彦命の先導役とされているが、お面の品格から察するにかなりのハイクラスの存在ではないかと常々思っている。

猿田彦命の現れる前に四方固めを済ませ、猿田彦命の四方固めの先を案内していく重要な役割だ。

俺も猿田彦命の舞をやっていた時感じたが、この「鉾廻し」が居るか居ないの差は愕然とするほどに違っているのだ。猿田彦命は、鉾廻しによって導かれているのを感じずにはいられないのである。

四方固めという、超結界の中心を一定の距離を置いて、惑星が運行していく様に、確実に的確に予定されたルートをトレースしていく。目には見えないが、強力な四方固めという結界が作られていくわけだ。

「鉾まわし」は、静寂の中の静を舞う。「猿田彦命」は眼光鋭く突き進み、道を押し開いていく激しい動の舞だ。

こちら、道化役的なお面たち。真ん中が「大笑い」と言われる面で、日本で唯一この広沢賀茂神社にしかない「屑紙拾い三番叟」で使われているお面だ。

お面が多すぎて、今回の記事だけでは語り尽くせないので、ひとまず写真をアップしておこうかと!!!

全ての面に言えることだが、こちら側から見る面の裏側の世界はどこに繋がっているんだろうか・・・・。

神楽師生活が30年を超え、かなりそのあたりの深い部分が実体験と共にわかり始めてきた今日この頃でもあり、これから神楽が面白い時節となりそうな予感!!!