村に着くと、思いの外静かだったが、お寺の中に入ると、沢山の男性たちが伝統の衣装を着て座っていた。
案内してくれた祭りマニアのちえちゃん曰く、バリのお祭りは、行ってみないと時間がわからないので、予定通りにいかないことの方が多いのだとか。
白い布を首にラフなネクタイの様な感じに巻いて、下は普通に布を腰に巻いて、上半身にも布を上手く纏っている。
騒ついていた会場が、お坊さまが話し始めようとした瞬間、「シィィィーッ!!!」という合図と共に、雰囲気は一変し、静寂が。。。
大の大人が一気に黙り込むというのは、なかなか無い光景なので、ビックリしたが、コミュニティが生きている場では、当たり前のことなのかもしれないとも思える。
お坊さまの話が終わると、みんな立ち上がり移動が始まった。
まっすぐな石畳の道を下っていく。
古い村のしきたりは、なかなかに厳しいものもあり、外部の者が入ってはいけない場所もあるらしく、神妙な気持ちで、後をついて行く。
一人の男性から、何やら話しかけられるが、意味はわからないが、どうやら、ここからは履物を脱ぐらしい。いわゆる聖域に入ったのかもしれない。
そこは、竹が立てられていて、結界が作られているような場所だった。
5年に一度行われる通過儀礼の祭りらしく、若い男女がこの祭りを経験して、この村の一員として認められるという。
この竹は、若い男性たちで切って、二本を竹籤で結んでいくというが、竹が132本使われ、結び目も間違うと罰金!
1000本位切って使えるのを選ぶという途方も無い作業らしい。
火が焚かれ、なんとも儀式らしいなあと思ったら、これは、寒いから火を起こしているとのこと。
若い女性たちは、地面に座っている。前に置かれている、スロンディングという楽器が御神体という事で、事前にその楽器を御神輿の様にして地響きと砂けむりと共に運んでくるという。
一枚の板が響くように共鳴箱があり、そこに板が乗せられて、それを木のハンマーの様なバチで時を刻むように、しかし、叩く長老の微妙な間合いで不規則に打音が継続されていく。
中央の建物の中には、若い男性陣が。。。
気になる飾り物は、葉っぱでできている。
まわりでは場所を清めるのか火が運ばれ、いろいろと執り行われていく。
暗がりに火の効果は、絶大!!!
ちょっと休憩の時に、昨日クリスを作る石とアグンとバトゥールの石をもらった友人の所に遊びにきた方が、この村の人で、服が違ってまるで別人だった。彼は俳優さんだとか、記念に一枚!
そうこうしているうちに、結界の竹が倒されて、その竹を引きずっての行進?が始まった!
即席で、竹を真ん中から割って節の部分の手前で止め、持ち手を削って竹の拍子木の様なものをみんなで鳴らして、カタカタカチカチカチカチッ!!!とものすごい雰囲気で、相当な熱気に包まれた。
女性陣が前を行き、後から男性陣が竹を引きずって押してくる。
お寺までの上りの道をジワジワ進んで行く。
押し寄せる男性陣のエネルギーが満ちたのかどうなのかはわからないが、ある場所から、女性陣が、一気に走り出した!
ここからは、凄かった!!!
男性陣も雄叫びを上げて走り出し、竹をものすごい勢いで引きずってくる!
お寺まで到着すると、手前のスペースに竹を投げ捨て、割れ門からお寺の中に走り込んで行くのだ!!!
陰と陽のエネルギーの融合なのか、どうなのかはわからないが、儀式というリアルな肉体を、ともなった体験を通して、コミュニティの一員になっていくという文化は、とても大切なことだなあ、としみじみ思ったのだったが、しかしながら、ものすごい熱気と儀式空間を体験できて、ありがたい限りでありました。