春分の日に、「踊る骸骨のリズム!!!〜 Mexicoの音 〜 」と題してライブを開催するにあたり、メキシコに滞在した時の記録を振り返ってみようと思う。
ライブ詳細は以下リンクの記事にて!!!
メキシコと言えば、サボテンというイメージは勿論なのだが、テキーラの原料になるマゲイ[竜舌蘭]も有名なのだ。
かなり迫力のある、その佇まいは造形的にとても素敵だ。写真の中央にあるのがそれである。
マゲイは、メキシコの文化には欠かせない植物で、葉を切り落として中心の部分を蒸して蒸留して、テキーラやメスカルという地酒を造っている。それぞれ製法が多少異なり、メスカルの方がかなり地酒色が強くて、メキシコ南部のオアハカに住む画家の竹田鎮三郎さんに飲ませていただいた、地元の人が売りに来るというメスカルは、それはもう複雑で濃密な味で、最高だったのを思い出す。
そんなマゲイは、数十年に一回しか花を咲かせないことでも知られている。そして、花を咲かせると枯れてしまうという、なんとも潔い一生を送る植物だ。ニョキッと延びる太い茎の上の方にその花が咲く。
こんな感じに咲く。
全体の感じ。
サボテンが生き生きしていて、とにかくかわいい感じだった。さてこの日は、マゲイの葉の部分から、昔ながらの方法で繊維を取り出しているオルテガさんの所へ行ったのだ。
ビックリしたのは、彼が住むというマゲイの葉っぱでできたいえだ!!!
屋根の部分は全てマゲイの葉っぱでできている、というかのっけているという感じだろうか。とにかく、メキシコに滞在中のメモリーとして、かなり強烈に脳裏に刻まれているオルテガさんの家。
繊維の取り出し方は、まずはマゲイの葉を棍棒のような道具で叩く。
その次に、板を使って肉厚の葉っぱの部分を削ぎ落としていくのだが、みるみるうちに白い繊維が現れてきて感動的だった。
「ほら!この通り!!!」という感じに見せてくれた。
この棍棒は、きっと木の根っこ部分をうまく使って作ったに違いないもので、道具としての根源的な機能美に目が奪われたのを今も思い出す。
葉っぱを打ち砕く先端のアップ!!!
枝の真ん中に金属が着けられてた削ぎ落とす道具の存在感も素敵だった。とにかく、全てが有機的で、大好きな世界観がそこにはあった。
この板が、また素敵すぎて・・・。
使い込まれていく道具の美しさは、なんとも言えない雰囲氣だ。
白いマゲイの繊維が束ねられている。不思議に発光しているようにも感じられた。
最後には、プルケをご馳走になった!!!
プルケというのは、メキシコの三大地酒の一つで、アルコール度数はビール程度だが、不思議な効果をもたらす飲み物だ。
マゲイの中心に穴を空けて、そこに貯まる樹液を発酵させるものだ。オルテガさんの所で飲んだプルケが一番ディープだったかもしれない!!!
市場でも売っているのだが、大の男たちが椅子に座って、そのプルケを飲む姿が印象的だった。みんなカップを片手に保ち、一口飲むと、何故か同じ斜め45度を見上げていたのだ!!!
氣になるので、俺も飲んでみたら、やっぱり斜め45度を何故か見上げてしまったのには驚いた。味としてはヨーグルトを薄くして少し甘さが加わった感じ。この感覚は不思議だったのでかなり記憶に残っている。
その後、舞踏家の工藤丈輝さんと、エスパルタコとのメキシコツアーに参加した時、どこだったか少し山の方での公演の時だった。スタッフの方が「美味しいプルケ屋があるから飲みに行こう!」と誘ってくれ、公演前に飲んだのだ。その日の公演は、ある意味異次元な感覚を味わったのを覚えている。半屋外な感じの場所だったのだが、松明をもった工藤さんが火の粉を撒き散らしながら、ブンブン振り回して俺を追いかけてくるのだ。それもかなり近かった・・・。
耳元で松明が燃える音が、「ブゥゥゥン!ブゥゥゥン!」としていたほどだったが、それがやけに心地良く感じて、ギリギリのところで松明をかわして逃げながら演奏していた記憶がある。
テキーラもメスカルも美味しいが、プルケには別次元へと誘う効果があるのかもしれない。