Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

新月神楽という音の世界

意識せずに、急遽4月の新月にライブをしておこう!と決めたわけだったが、ライブ当日の4月16日は、牡羊座新月だったとのことで、一年の始まりでもあり、今後の展開を左右すると言われているらしい。

何か強力な引力なのか、磁力なのか、はたまた惑星の運行的に宇宙の法則の中にあるエネルギー的ものだったのかは定かではないが、今回の酒蔵の空気感はとても清涼であり、祝福してくれている様でもあったのは事実だった。

これは、この酒蔵がアルバム「新月神楽」の完成を祝ってくれている様でもあり、なんだかとても嬉しくなった。

実際に、この酒蔵で録音をして作り上げて行ったアルバムなので、やはり、この場所からお披露目を始めていくのが、自分としてははずせない事だったので、実現できたことに本当に感謝であります。ご来場いただいたみんさんをはじめ、スタッフのみんな、酒蔵に心から感謝です。

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なかなか一から掃除をして、舞台を作っていく作業をすることはないので、自分自身の足元を毎回見つめ直す意味でも、この準備の作業は大切だと思える。

今は、見かけないリヤカーが照明や椅子を積んで大活躍してくれる。必要な装備のみに特化したその造形美は、いつもながらに素晴らしいと思ってしまう。

 

大銅鑼の音の第一印象は、やけに深い部分から鳴り響くなあ、ということだった。なにか太古から流れ続ける芸能や音の神秘の背景にある通奏低音の様な流れを感じることができた様に思う。そこまで深い部分まで感じることができると、演奏というのは、本当に自由になるもんだなあ、と思えた。

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今回は、アルバムで使った楽器の説明もしながら進行していく珍しいスタイルとなり、それぞれの特徴などを紹介していったが、自分が好きなものを紹介するのは、結構楽しいのにビックリ。

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一旦音を出し始めると、すぐにその世界観に入るのは、やはりその楽器の持つ音の神秘なのかもしれない。下の写真は、アジアの宇宙観でもある亀が地球を背負っているというのを楽器に現した様な、インドネシアのチェンチェン!!!

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そして、神楽太鼓の鳴りが、素晴らしかった。これは、毎回聴いてくれている方が何人も言っていて、今までで一番鳴ってた!という話だ。

自分でもその感覚はあり、やけに軽く、そして自由にグルーブを展開していくことがとても自然にできたのが、本当に良い状態だったんだなあと思えるのだ。

大好きなメキシコの亀の甲羅のマラカスも横に鎮座している。。。

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アルバムの5曲目、螺旋率-即興-Spiral Scale-Improvised-で、甥っ子の草吉とのセッションを収録しているので、ラストは草吉との即興セッションとなった。

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おそらく、一番大切にしている即興感を共有できる、最年少の演奏家だろう。

自分を信じて、迷わず、自分で決めるというシンプルなことだ。

彼の最初に聴いたライブは、俺の師匠の土取さんと俺のライブなので、幼少期に相当に濃密な即興の種が植え付けられ、その芽が出始めているのは、嬉しい限りだ。

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入口では、伊東屋珈琲さんが提供してくれたウェルカム珈琲の「新月神楽ブレンド」がふるまわれ、早く来てくれた友人のモーリーが珈琲をサービスしてくれた。モーリーは、俺と草吉の髪の毛をカットしてくれている床屋さんだ。

そして、受付は、群馬が誇る即興系ダンサーの山賀ざくろさんという豪華な顔ぶれ。

外回りはいつものメンバーの高峯君がいるので、鬼に金棒的に何があっても大丈夫な状態。

そんな仲間に支えられつつ新月神楽の幕が上がっていったのだった。

照明の円くんが、スポットに青系のフィルムを入れてくれ、新月神楽の世界観を視覚的にも盛り上げてくれ、なんとなく神聖な世界観となった。

写真で見ると、そこに浮かび上がる楽器たちや衣装の雰囲気がなんとも良い感じで、絶妙なバランス。

今回は、ふたり共うさぶろうさんが衣装として作ってくれたものを着用。草吉のものは、彼用に作ってくれた特注のもの。うさぶろうさんの衣装は、新月神楽の世界観にも絶妙にマッチして雰囲気を盛り上げてくれていた。

舞台という表に立つ側と直接は立たないが、照明、会場、受付、裏方、衣装もろもろ、支える側の、表と裏のバランス、そして、ご来場いただいたみなさんの空気感すべてが、今回の祝祭の様な雰囲気を作っていたんだと思う。