どうやら明日、というか0時を回ったので今日が満月らしく、夕空に浮かぶ月が利根川の川面と相まって、なかなか情緒をる景色だった。そんな本日の3月1日は、今月から冬の休みからの再開となった地元の神楽の練習日でもあった。
月の丸い感じが太鼓の鼓面ともリンクして、なんだかゆったりした深い低音の良い音が響く。俺が神楽師になった二十数年前は、厳格な師匠や太鼓の天才的に上手い師匠が生きていて、その当時ですら、「ここは一体全体どこなんだ???」と思わせられてしまうほどに、神楽囃子のクオリティが高く、リズムの輪郭を作っているツケ太鼓の歯切れのよい強い打ち込みと極繊細なステバチと言われる微細な音が入り乱れる複雑なリズムが疾走する中、この大胴(オオド)と呼ばれる宮太鼓が、本当に絶妙に気持ちの良いリズムのポイントに低音を響かせるのだ。
そして、ゆったりしたリズムの時には、よりこの大胴の効果が発動され、なんとも言えないリズムのうねりを作っていくのだ。
今日は、そんな記憶に残る師匠連中の音の響きを、少し感じることができた。当時は技術先行でとにかく練習して正確なリズムを叩く!という考えでやっていたのだが、どうもそれだけではない世界は存在しているのだ。
勿論練習は絶対的に必要なものなのだが、それにプラスして、その人の性格や人間味、場を調和させるように響かせる、という様な不確定な要素が、太鼓の音やリズムにだいぶ影響を及ぼすんだなあ、というのを、ここ最近は感じている次第。
時間をかければ、そこの地点に到達できるのか???というとそういうことではない感じがする。強さを追求しないと、柔軟さは生まれにくい様で、ガンガンやる時期も必要なことは間違いない。
と、まあ、神楽の世界というのは、奥深いもんだなあ・・・・、と。
来月の14日、15日は、賀茂神社の春の例大祭があり、今回は、日本で唯一、ここにしかないと言われる「屑紙拾い三番叟」を上演することになり、練習が続いている。
賀茂神社(かもじんじゃ)は、群馬県桐生市広沢町にある神社である。祭神は賀茂別雷神。 延喜式内上野国十二社の一つ。旧社格は郷社。
※先輩から場所の問合せがあったので、場所を追記しました。
2018年4月14日(土)
17時頃より神事、17時半頃より「白黒翁三番叟」上演予定。
19時過ぎより、何かの演目の上演予定。
2018年4月15日(日)
午前の部は、10時半頃より、「白黒翁三番叟」「道開けの舞(猿田彦命)」。
午後の部は、13時過ぎより、「岩戸開きの舞」「屑紙拾い三番叟」「稲荷山種蒔きの舞」。
当日、神楽師の都合により、演目の上演は変更になる場合もあります。あくまでも予定ということで、神楽のゆったりした世界観の中で、進行していきます。
本番が楽しみであります。