Dragontone /石坂亥士

神楽太鼓奏者・石坂亥士のブログ

てらからそらへ 〜地球から宙へ〜 @ TOKYO FM ホール

10月25日は、記憶に残る舞台となった。

エドゥアルド・デルガード ピアノコンサート&うさと座公演。

一部の冒頭部分に、デルガードさんと俺の即興セッションに、沖縄のバレーダンサー・野島友和くんが彩りをそえてくれた。

デルガードさんは、昨年のソロライブの時、ゲストで出演してくれて、めちゃくちゃ楽しくスリリングな即興セッションを展開できたので、今回は、お互いに次の段階へシフトしている感覚があった。

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彼は、ステージに上がる前に、「考えたんだが、君の音から始めてよ!」

そして、「その音からイメージを膨らませていくから!」と。。。

正にその通りの展開で、俺が鳴らすベル類のトーンと間をピアノの音に変換して瞬時に切り返してくる。何度かそんな雰囲気のやり取りの後、大胆な即興セッションへと展開していった。

お互いにワクワクしている感じと、スリリングな音のやりとりが、とても気持ち良くて、音楽の神様からのギフトの様な時間だった。

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そうこうしていると、野島くんが、現れた。

彼の登場を機に、デルガードさんは、変化をつけ始め、安定しつつも、よりスリリング度合いは増していき、そんな三つ巴の加減がとても気持ち良かったなぁ。
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沖縄で彼の舞台を見た、うさぶろうさんが声をかけて、今回の出演が決まったのだ。

しかし、彼の出番は、この冒頭部分の5分のみという、素晴らしすぎる濃厚ピンポイントな出演なのだ!!!

もしかしたら、誰よりも印象に残っているかもしれない。
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即興の場合、個人的には、空気感をとても大切にしている。野島くんの踊り自体は、ピアノに映る姿しか見れなかったが、3人の醸し出した空気感は、なかなか濃密でスリリングだったと思う。

とはいいつつも野島くんは、なんと即興は今回が初めてという話。。。

無茶振りでお付き合いいただいたが、彼の即興感覚は、本当に素晴らしかった!

自分が追い求めている即興感覚というものがあり、それを共有できる仲間が沖縄にできたのは、とても嬉しい限りである。
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その後のデルガードさんのソロコンサートは、乗りに乗ってモニター越しにも伝わるほどに素晴らしいものだった。

特に、最後のムスログスキーの「展覧会の絵」は、圧巻!!!!

クラシックのコンサートでは、名演というのが稀にあるというが、このデルガードさんの演奏は、彼の演奏家史上でも記憶に残るものではないかと思えてしまう。

3回のアンコールが、それを物語っていたんだと思う。

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舞台に強烈な印象を追加したのは、華道家・荻原亮大さんの作品。秋駆ける龍のイメージで製作されたもの。想像を絶する大きさで、当初の予定よりも、どんどん舞台を浸食していくのが面白く、どんどん広がっていった・・・・。

今回のイメージにピッタリで、エネルギッシュな「秋駆ける龍」が下手に鎮座したのだった。

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デルガードさんの乗り乗りの演奏の音が、会場全体に残っていた感じがあり、暖気した車のエンジンの様に、乗りやすい状態だったという印象。

二部のうさと座公演は、三輪福さんの舞とKNOBさんの音から始まり、そこのに俺が入るという流れ。

ちょうど神楽太鼓についた時、KNOBさんと俺の真ん中に三輪福さんが立っていて、舞台中央に一直線!!!

とても印象的なフォーメーションが出来上がっていた。

KNOBさんと三輪福さんの静の世界に、神楽太鼓で動の要素を追加していく。静の中の動と動の中の静が融合して立体的な空間へと変化していく。
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今回のために、うさぶろうさんが作ったこの白い衣装は、もの凄く薄くて軽く出来ている。衣装を着けていないかと思ってしまうほどの軽さにはビックリだった。そして、烏帽子も用意され、神話の様な世界観が現れてくる印象だった。

見た目に反して、動きやすくて演奏しやすいのは、さすがとしか言いようがない。
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魂宮時くんと秋駆ける龍のシーンは、ソルフェジオガンクの音がメインで、しっとりとその場のみで踊り切り、マニアックだが、個人的にとても好きなシーンとなった。
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チャッキリ(茶喜利)とは、だいぶ久しぶりの共演。若い頃からいろいろな舞台を共にした間柄で、同じ即興感覚を共有できる弟分的存在。二人でのシーンは、ガンガンやれてとても面白かった!!!

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それぞれが別々の場所で活動しているわけだが、唯一紅の衣装を着けた沙和子ちゃんは、アメリカ在住。ベリーダンスをベースにした彼女のダンスは、魅力的だが何故か男前で、とても素敵なダンサー。
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位置的に全て後ろから見ていたので、写真で客席からの見え方を見ると、「おーーー!!!」という感じがする。

魂宮時くん、尋常ならざる存在感を放っているこの一枚は、衣装の美しさと特徴がよく見える。

シルクオーガンジーなので、動いた時の布の動きがもの凄く上品でいてシルエットも素晴らしい。
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踊り手3人、音楽家3人の響宴の舞台は、TOKYO FMホールの照明さんと音響さんの好意的な仕事によって相当グレードアップしたと思え、人が動く時には、その物事に対する熱量が重要なんだなあ、と思ったのでありました。
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大きな動きのある舞台だったが、最後のシーンは、音だけで締めくくるカタチになった。

以前、石垣島の血のつながってない姉さんが、ハブに噛まれて生死の境を彷徨った時に、この世に戻って来た時に、聴こえる音があるんだよ!と教えてくれた。

音の世界は、奥深いもので、そんな音を追求していきたいと、更に深く思う締めくくりとなったのでありました。

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ご来場いただいたみなさんをはじめ、照明さん、音響さん、舞台裏方、ボランティアスタッフのみなさん、どうもありがとうございました。
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 写真:Akiko Hotta